辞めた社員に恨まれないように

画像: Daniel X. O'Neil

2007.09.21

組織・人材

辞めた社員に恨まれないように

横井 真人
産業能率大学 教授

最近知り合いが何人かそれぞれの会社を辞めました。辞めた人がマイナスの感情を抱いていると、結局会社は損をするようです。

100人程度の会社の経営幹部をしていた私の知人が辞任することになりました。

わが国の総理大臣も辞任してしまいました。一回マラソンレースで負けた後、直後のレースに再挑戦し、あろうことか優勝宣言までしてしまい、スタートして5分後に「もう走れないからリタイヤする」と言ったようなもので、どうにも格好がつかない残念な状況です。ご本人も大変だったのでしょうが、客観的には参院選挙で負けた時が引き際だったのに、と思ってしまいます。

さて、くだんの幹部ですが、これは理由もタイミングも「立派」なものです。そもそも投資ファンドから資金を集め、上場を目指すスキームの中で会社の幹部となった訳ですが、初年度・次年度の営業目標が未達成なのでその責任をとって、年度末に辞任した訳です。

ここまではよくある話。傍から聞けば自業自得です。
ところが本人から直接経緯を聞くと、人間社会のダークさを思い知らされることとなるのです。事実関係はどうであれ、本人からすると一緒に上場を目指していた会社のトップに責任を押し付けられた感が強く、そのトップに恨みに近い感情を持っています。「2度とあの人の顔を見たくない」と言い捨てた時の表情は明らかに嫌悪を表していました。まるで毛虫を踏んでしまった時のような。

残された組織(部下)はたまったものではありません。突然の辞任に現場は右往左往。決裁は滞り、モラールは急降下のようです。建て直しにかかるパワーは尋常ではないでしょう。

では、一般社員が辞めるとき、どのような感情を持って辞めていくのでしょう。統計に出てくる表向きの理由とは別に、実際にはマイナスの感情を元の職場に持ったまま辞める人の数は少なくないはずです。

インサイトナウのビジョナリーである村山昇氏も書いておられるように、人が流出する企業と輩出する企業の間には大きな違いがあります。

極端な例を紹介します。私が最初に在籍した会社には社員に徹底してキャッシュで報いる仕組みを作り上げていました。巷ではその会社は若い社員は馬車馬のように働いた分稼げるが、中年以降は残るのが厳しいと言われているようですが、私が在籍した当時はたしかにそんな風土でしたね。

90年代後半、肥大化した組織を変革するため会社は大きな決断を幾つかしました。まず福利厚生を撤廃する代わりに毎月の給与に上乗せすることにしました。福利厚生は活用度合いが人によって異なりますが、運用経費は固定でかかります。契約保養所も寮も家賃補助も無くなりましたが、会社は福利厚生にまつわる経費が削減でき、ある意味社員には公平な原資配分となりました。

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横井 真人

横井 真人

産業能率大学 教授

個人と組織のパフォーマンス向上を研究。人の行動をスキル、知識、行動意識、感情能力、価値観等の要素に分解し、どの要素が行動に影響を与えているかの観点からパフォーマンスを分析。職場のコミュ二ケーション、リーダーシップ、チームビルディング、ファシリテーション、ソリューション営業、マーケティング等の具体的施策に視点を活用する。

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