パタゴニア社にみる「個と組織の自律性」

2010.03.03

組織・人材

パタゴニア社にみる「個と組織の自律性」

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「ポータブルスキル」を身につけさせれば社員の自律性は高まるのか?―――答えは「否」。自律性は知識・技能習得の問題ではない。働くマインドの構え様の問題である。習慣、文化の問題である。米・パタゴニア社にひとつの範をみる。

==【沖縄発】======

今日のビジネス社会においては、
個人にとっても、組織にとっても「自律性」が重要なテーマになってきている。
自律性については、本サイトでも次のような記事で触れてきた。

・「自律」と「自立」の違いについて
・自律と他律 そして“合律的”働き方
・自立から自律へ、そして自導「セルフ・リーダーシップ」へ <上>
・『ヒポクラテスの宣誓』:プロの原義とは?

きょうは「自律性」を考える補足として、一冊の本を紹介したい。
その本の中には、自律的な個人・自律的な組織のひとつの模範がある。

『社員をサーフィンに行かせよう-パタゴニア創業者の経営論-』
(原題:Let My People Go Surfing)
イヴォン・シュイナード著(森摂訳)、東洋経済新報社

米・パタゴニア社はアウトドアスポーツ愛好者の間では多くが知る道具・衣料メーカーである。
本社はカリフォルニア州の太平洋を望むベンチュラにあり、
日本支社は神奈川県鎌倉市にある。
いずれも社員がサーフィンに行きやすいロケーションであることがミソだ。
さて、この本の「日本語版への序文」を少し長いが引用する。
(部分的に省略した。太字は村山による)

◇ ◇ ◇
私たちの会社では、本当に社員はいつでもサーフィンに行っていいのだ。もちろん、勤務時間中でもだ。平日の午前11時だろうが、午後2時だろうがかまわない。いい波が来ているのに、サーフィンに出かけないほうがおかしい。私が「社員をサーフィンに行かせよう」と言い出したのには、実はいくつか狙いがある。

第一は「責任感」だ。私は、社員一人一人が責任を持って仕事をしてほしいと思っている。いまからサーフィンに行ってもいいか、いつまでに仕事を終えなければならないかなどと、いちいち上司にお伺いを立てるようではいけない。もしサーフィンに行くことで仕事が遅れたら、夜や週末に仕事をして、遅れを取り戻せばいい。そんな判断を社員一人一人が自分でできるような組織を望んでいる

第二は「効率性」だ。自分が好きなことを思いっきりやれば、仕事もはかどる。午後にいい波が来るとわかれば、サーフィンに出かけることを考える。するとその前の数時間の仕事はとてもはかどる。たとえば、あなたが旅行を計画したとすると、出発前の数日間は仕事をテキパキやるはずだ。机に座っていても、実は仕事をしていないビジネスマンは多い。彼らはどこにも出かけない代わりに、仕事もあまりしない。仕事をしているふりだけだ。そこに生産性はない。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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