『ヒポクラテスの宣誓』:プロの原義とは?

2007.06.19

仕事術

『ヒポクラテスの宣誓』:プロの原義とは?

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「プロフェッショナル」の原義は、“profess”(=宣誓する)である。プロが宣誓をなくしたとき、それは単なる「○○屋」でしかない。

【ピンときた!コンセプト:PIN !-cept #03】=======

昨今、民間企業、公的機関の別を問わず
不祥事、犯罪的営利行為、非倫理的行為などのニュースが絶えることがない。

その原因は、
組織ぐるみのものもあれば、
一従業員や一管理者、一経営者によるものもある。

しかしいずれにしても、その根本は、
一職業人の中の
職業倫理欠落(あるいは欠陥)にあるといえるでしょう。

“倫理”などという抹香くさいテーマは
いまどきはやらないわけですが、
私は職業教育・キャリア教育に携わる身の上でもあり
あえて声高に仕事上で折々に触れています。

しかし何よりも、誰しも働く上でこの倫理の問題を避けて通ってはいけないのは
「倫理を誓う」ことが
「プロフェッショナル」の原義でもあるからです。

「プロフェッショナル」という言葉は、現在では多義に拡大され
いささか大安売りされている感がありますが、
もともと「プロ」と呼べる職業は極めて限定的でした。

ジョアン・キウーラ著『仕事の裏切り』(原題:The working Life)によると、
プロフェッショナルという言葉は、
“profess”という、もともと宗教に入信する人の「宣誓」からきていて、
やがてそこから、厳かな公約や誓いを伴うような職業を
プロフェッショナルと呼ぶようになったといいます。

中世に存在した数少ないプロフェッショナルは、
聖職者や学者、法律家、医者だったわけですが、
彼らの仕事の特徴は、
仕事における(個人や組合・協会の)自律性と
私欲のない社会奉仕精神・公約の精神です。

プロフェッショナルの仕事は無報酬を理想とし、
「お金をもらう仕事をする」のではなく、
仕事をするために必要な経費を補填してもらうという意識が原則だったのです。

さて、欧米の医学会では、
今でも、医師になるときに『ヒポクラテスの宣誓』を行なうしきたりを残しています。

ヒポクラテスは、
ソクラテスやプラトンと同世代のギリシャの偉人の一人です。
彼は、当時の医術の発展に多大な貢献をしただけでなく、
後世の医の倫理の礎を築きました。

『ヒポクラテスの宣誓』は、
「誓い」と表題された短文を指します。
彼はその中に、医師の戒律・倫理を明言しています。
(全文はネット検索をすれば、どこかに掲示されていると思います)

『ヒポクラテスの宣誓』は、要は、
冒頭、医神であるアポロン、アスクレピオスらに誓いを立てる文面からはじまり、
医を志す際の師弟の誓い、
そして医師として、患者第一とする利他的で我欲を廃する誓いをするものです。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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