自分の拘りでなく価値に拘る - 講談社など女性誌のサイズ統一

2010.02.23

経営・マネジメント

自分の拘りでなく価値に拘る - 講談社など女性誌のサイズ統一

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

たまたま面白い取組みがありましたので、今週も、先週に引き続き、出版業界から、経費削減の取組みをご紹介します。講談社や小学館など大手出版社が、女性誌のサイズを統一するとの事です。今回は、こうした取組みのメリットや、その背景、障害、成功の秘訣などについて見ていきましょう。

今回の取組みについて、小学館の担当者は「寸法でなくコンテンツで競う」ことになると述べています。

うーん、何を今更という感もありますが、お客様に評価されない提供者のこだわりは無意味どころか、収益性と売上への影響という二重の意味で害悪でしかありません。まず、サプライヤのこだわりは上で見てきたように、提供コストに跳ね返ります。また、お客様に評価されないこだわりは、評価されていない故に販売時の値付けに反映できません。そうしたこだわりを勝手に価格に反映させれば、お客様は必ず「高い!」と感じます。お客様が値段以上の価値を感じなければ、当然、売れ行きも伸びません。

今回の出版大手各社の用紙サイズの統一は、各社のメンツもあり、部外者から見れば当然ですが、ここに至るまでには相当の紆余曲折があった事でしょう。

それでも、各社がそのメンツを捨てられたのは、出版業界では、有力誌の休刊が相次ぐなど、相当の苦境に追い込まれているからでしょう。出版科学研究所によると、09年の雑誌の販売金額は1兆864億円で、97年のピークから31%減少、部数は、ピークの95年と比し4割強減っています。

初めから、ミリ単位のサイズ競争などでなく、コンテンツの中身で競争していれば、こうはならなかったでしょう。各出版社は、競争が激化する中で、競争の軸を見間違えてしまったのでしょうか。

我われ商品・サービスの提供者は、自分のこだわりでなく、お客様の価値に徹底的に拘る必要があります。それは、コスト削減の一つの近道でもあります。

※本稿は、弊社が発行しているメルマガ「週刊 戦略調達」の記事を編集・加工したものです。「週刊 戦略調達」は、調達・購買業務とそのマネジメント、コスト削減・経費削減のヒントを提供すべく、調達・購買業務のマネジメント、戦略調達のプロフェッショナルが、最新のトピックスから、調達・購買業務におけるトレンド、業務への影響を解説したものです。最近の記事のバックナンバーの閲覧やご購読は、http://samuraisourcing.com/knowledge/weekly/ にて行えます。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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