売れるべくして売れた「ポメラ」ヒットのカラクリ

2010.02.15

営業・マーケティング

売れるべくして売れた「ポメラ」ヒットのカラクリ

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

キングジムが出した電子メモ「ポメラ」が好調だ。発売初年度には当初計画比の3倍もの売上となり、ニッチとはいえ大ヒットとなった。その、マーケティングのお手本ともいえる戦略を考えてみる。

明確かつ絶妙なSTP

マーケティングのイロハのイといえば、まずはSTPすなわちセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの設定となる。ここがぶれていると、その商品が売れる確率は、がくっと下がる。だからといってSTPがきちんと定まってさえいれば、必ずしも売れるとは限らない。ここがマーケティングの難しいところだが、STPが定まっていない商品がヒットする確立が限りなく低いことは間違いない。

では、ポメラの場合はどうか。

まずセグメンテーション。文具マーケットの中でもメモに絞り込んだ。それも電子メモである。といえば「なるほど!」とピンと来る方もいらっしゃるかもしれない。そう、昨今の仕事術&勉強/手帳&メモブームにポメラはぴったりフィットしているのだ。

次がターゲティングである。これもうまいと思う。メモ帳ブームが幅広い層を対象としているのに対して、ポメラが狙ったのは『メモオタク』である。手書きでは追いつかないぐらいの量のメモを、素早く取りたい。そんなニーズを抱えている「もともと文章を書く機会の多い一部の顧客向けの商品(日経MJ新聞2010年2月3日付3面)」なのだ。この絞り込みが功を奏す。

となると必然的にポジショニングも鮮明になる。同じようにメモを書くツールとして先行していたネットブックとの差別化をきっちり図ったのだ。速い、軽い、電池で長持ちである。一方でネット接続を思い切りよく諦めた。このポジショニングの妙。ここで「今どき、ネットにつながらないなんて」という常識にあえて反することで、際だったポジショニングを取ることができたのだ。

STPから導き出される4P

続いてイロハのロは、STPに基づいて4Pを組み立てること。すなわち製品、価格、プロモーションに流通である。

初代ポメラは4インチの液晶を搭載していた。これに保存できる文字数は、8,000文字までのファイルを6つ。合計48,000字である。ここも思い切った割り切りが、結果的に特長を際立たせることになった。

ポメラは、たくさんのメモを手元に置いておくのツールではないのだ。思いついたこと、議事録などを素早く書き残しておきたい、そんなニーズに応えるために純化されている。書いたメモは後ほどパソコンに移して、加工するなり保存するなりすればよいのである。要は本当に手書きメモのかわりなのだ。

ただし手書きより圧倒的に速く、たくさん書ける。そのためにキーボードの打ちやすさには妥協しない。そのために開発されたのが、なんと折りたたみ式17mmピッチのキーボードである。これでネットブックと比べても使い勝手に遜色はない。それでいて起動の速さは圧倒的に速く、開いてわずかに2秒で立ち上がるのだ。スーツの内ポケットからメモを取り出して書くのとほとんど変わらない。

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