大ヒット連発「森永・エスキモーアイス」のヒミツは何だ?

2010.02.10

営業・マーケティング

大ヒット連発「森永・エスキモーアイス」のヒミツは何だ?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 「巣ごもり需要」を狙って森永乳業・エスキモーアイスが大攻勢をかけている。

 エスキモーブランドは森永乳業が1979年に<世界レベルの、高品質で楽しいアイスクリームの提供を目的として、世界最大のアイスクリームメーカー・ユニリーバ社と提携>(同社ホームページ)して日本に登場したブランドだ。同ブランドの3大商品は、エスキモーブランドの登場以前、1976年からの歴史を持つ粒アイス「Pino(ピノ)」、2003年に登場し2008年に大ブレイクしたカップアイス「Mow(モウ)」、2005年登場のスティックアイス「PARM(パルム)」だ。
 ピノには、いつからか通常の円錐の上部を切り取った形状のものだけでなく、パッケージ内に「願いのピノ」という星形や、「幸せのピノ」というハート型の変わり種をサプライズ的に混入させる仕掛けを行った。それが、ロッテのコアラのマーチにおける「眉毛付きコアラ」的なクチコミで話題になって変わり種見たさに買い続けるファンを生むこととなった。

 上記のような草の根的な展開の一方、MOW、パルムの両商品が攻勢をかけ始めている。

 パルムは<なめらかな口どけのチョコレートとリッチなミルク感>であるといい、プレミアムアイスクリームと同様のクリーム・脱脂濃縮乳を使い、急速冷凍することで氷の結晶の細かいなめらかなアイスを実現した>(東京ウォーカー09年10月16日 http://news.walkerplus.com/2009/1016/5/ )という。さらに最大の特徴はアイスクリームを包むチョコレートは<体温と同じ温度で溶けるようにコントロールされており、口に入れた時になめらかに溶ける仕組み>(同)に仕上げたという点だ。パッケージにも「なめらかな口どけ、上質の証」と明記されている。そのおいしさで大ヒット中なのだ。
 パルムは今まで、食べきりサイズが6個入った箱タイプのみ展開し、主たる販路はスーパーとしていた。<それを1本売りし、コンビニエンスストアで販売することで、単身者や男性層の購買を拡大させる狙いだ>(東京ウォーカー09年12月5日 http://news.walkerplus.com/2009/1205/7/ )という。実際にコンビニの店頭を見てみると、アイスクリーム棚のフェイスをかなり獲得し、多くの単身者的な風情の客が弁当などのついで買いで購入していっている姿が散見される。恐らく、この狙いもアタリだろう。

 MOWは<牧場で食べるソフトクリームのようなコクのあるミルクの風味と滑らかな舌ざわり、さっぱりとした後味が特長>(同)だという。定番のバニラやチョコレートに加え、季節限定の果実フレーバーも人気である。しかし、何よりMOWが大ブレイクしたのは2008年3月末から8月にかけて期間限定で発売した「MOW クリーミーチーズ」がきっかけであった。同期対前年比の売上げを216.5%押し上げたという(同社ニュースリリース)。
 その「MOW クリーミーチーズ」が2月22日から全国にて再発売・定番化されるという。しかも、マスカルポーネチーズ10%増量というグレードアップっぷりである。同社では再びヒットを確信しており、同商品の売上げを<前年比約160%と大幅な伸長を見込んで>いるという(同)。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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