映画「インビクタス」から学ぶ真の信頼関係とは

2010.02.08

経営・マネジメント

映画「インビクタス」から学ぶ真の信頼関係とは

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

製品やサービスが流通するのは、「需要」と「供給」の原理が働くからといいますが、それだけではありません。 そこにもうひとつの極めて重要な要素である「信頼」というものがないと、流通はしないのです。 今回は、「信頼するということ」について考えてみたいと思います。

◆一方マンデラは、釈放されて大統領になってからも、同朋の多数
の命を奪い、30年近い自分の貴重な青春を奪った白人側や白人政党
である国民党の責任を問う言葉や、うらみ中傷を何一つこぼさない
活動をしていました。

◆そこで映画に戻るのですが、新しい黒人政権下、国家スポーツ評議
会が、アパルトヘイトの象徴である南アのラグビー代表チームである
スプリングボックというチーム名と、ユニフォームやエンブレムのデ
ザインを全て廃止する決議案を可決しようという際、マンデラがそれ
を阻止する演説を黒人の前で行い、説得するというシーンがあります。

◆その時にマンデラが放った言葉です。

「今は卑屈な復讐を果たす時ではない」

白人も黒人もない。 敵も味方もない。 皆同じ南アフリカ人として
新しい国づくりに励もうという強い意志が感じ取れます。

◆それから、マンデラは白人スポーツの象徴である、南アラグビー
代表チームを真剣に応援し、奇跡の優勝劇を演出し、スプリングボッ
クのユニフォームを着てグラウンドに立ち、選手一人ひとりの名前
を呼び、感謝の気持ちを述べた
のでした。

◆これを観客席から観た白人は、こう思ったに違いありません。

「マンデラは、我々白人の敵ではないのだ。
我々白人に仕返しを企てるような人物ではないのだ。
真のこの国のリーダーなんだ。 
我々白人も、生まれ育ったこの国に残って頑張って生活し続ける
希望を持ってもいいのかもしれない」

◆このシーンこそ、マンデラが暗い獄中でデクラークと取り交わした
人間同士としての信頼の絆を、公の場で明確な形で証明してみせた、
象徴的なシーンだったと思います。

彼はデクラークとの信頼を元に約束を守ったのでありました、

◆当時あの観客席で一緒に隣で観戦した南ア大手製鉄会社の顧客で
ある白人の幹部が後日筆者に言ったことを今でも覚えています。

「ミスター ミヤケ。 
正直、来月には、荷物をまとめて祖父母の故郷であるオランダ
に帰ろうかと思っていた。 
 あの決勝戦の試合を観るまではね。

 だけど、あの日を境に考えが変わった。
 これから色々あるかもしれないが、ともかくこれからも
 俺は南アフリカで頑張ろうと思う。
 南アフリカ人としてね」

 
◆マンデラとデクラークは、結局二人揃ってノーベル平和賞を受賞
しました。

◆相手を信頼し、希望と夢を持って人種を超えた新しい国家を建設
した二人には当然かもしれません。

◆一方、身近には、政治と金、賄賂などという極めて低レベルな
問題で、お互い延々と非難中傷ばかりしている我が国の国会の政治家
先生方を連日見ていると、情けなくなります。

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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