満身創痍のトヨタに垣間見る慢心!

2010.02.07

組織・人材

満身創痍のトヨタに垣間見る慢心!

松本 真治
有限会社ワースプランニング 代表取締役

 世界のトップ企業として誇れる日本企業であるトヨタ自動車が揺れている。アメリカでもトップ記事で扱われるほどの過熱ぶりである。品質面で高い評価を築きあげていただけにその反動も大きいのかもしれない。しかし、今回問題を大きくしているのは車自体の品質面よりも企業自体の品質面ではないだろうか。

 社長よりも先に行われたトップの会見では、問題意識、危機感の低さが窺われる。説明は会社視点の話に終始し他者視点に欠けている。いみじくも、前原国土交通相は「会社の説明では大きな問題ではないというが、それは使う側が決める話だ。トヨタの対応は顧客の視点が欠如している。」と言っている。

 某雑誌の裏表紙にトヨタの広告がでていた。「『お客様の言葉に、じっくりと耳を傾ける。』それが安心をお届けする第一歩だと信じています。」実はこの2つ目の文の主語が「トヨタのサービスエンジニアは」となっている。この主語がトヨタのトップから現場に至るまでのすべての社員にならない限り、信頼回復は遠い道のりになってしまう可能性もある。

 今までのトヨタの対応は、トップのリーダーシップ力の弱い多くの日本企業でよくみられるパターンである。特にトヨタの場合は輝かしい過去の実績により慢心が生まれやすい。企業人として自らの事業に自負を持つことは重要なことではあるが、慢心にならないようにすることが重要である。その鍵を握るのが他者視点である。

 日本を代表する世界的企業であるトヨタの早期の信頼回復を願い、今後の対応に注目したい。

 

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松本 真治

松本 真治

有限会社ワースプランニング 代表取締役

人材・組織開発コンサルタント。 人材・組織の潜在力を引き出すアセスメント(サーベイ)の企画/開発/運用から本質的課題を抽出し、課題解決のための最適なソリューション(研修・教育プログラム)の設計/運営までのコンサルティング・サービスを展開中。 人/組織が本来持ち備えている力(潜在力)を引き出し、人/組織が自律的で持続的な成長を遂げていく支援をさせていただいています。

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