働く動機を「内発×利他」にシフトすると…

2010.02.01

組織・人材

働く動機を「内発×利他」にシフトすると…

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

私たちは餌付けされたサーカスの玉乗り熊ではない。 動機を「外発×利己」に置くことは反応的な働き方であり、ついには反応疲れが出る。 長いキャリアを行く過程で大事なのは「内発×利他」に動機をシフトさせていくことである。

したがって利己動機に根づく想いは発展性に乏しい。
そして行き過ぎた利己は、結果として、好ましからぬ状況にたどりつくことを
私たちは自他の経験から、あるいは史実から学んでいる。
(しかし本来的に利己という欲求は悪ではない)

なお、利己的・利他的という表現はどうも教条的な感じがするので
私は「内に閉じる動機」・「外に開く動機」としてもよいと考えている。
また、利己と利他は厳密に線引きができるわけでもない。
実際はあいまいな混合の形をとっている。
例えば、政治家や事業家の志は、どこまでが本当に世の中を思っての利他的動機か、
どこまでが利己的な満足を得ようとする野心なのかは判別が難しい。

外発的×利己的動機に根づく仕事は「疲れる」
内発的×利他的動機に根づく仕事は「快活になる」

結局、外発的×利己的(内に閉じる)動機は、
自分の外からのきっかけに対して利己的に反応する動機なので、
強くはあれど、深くを自分に考えさせるものではない。
ちょうど「強い物欲・金欲・名誉欲」とは言うが、
「深い物欲・金欲・名誉欲」とは言わないように。

この動機をもとになされる仕事の喜びは、優越、興奮、高揚、自己満足といった類になる。
これらを追い続けることは、結果的に自分を疲れさせる。

それとは対照的に、内発的×利他的(外に開く)動機は、
自分だけでは完結しない問題に対し、
粘り強く他者と対話や協力をしてまでも実現させたいという動機である。
なので、その実現プロセスでは深い思索を自分に要求する。
だからその分、達成のときの喜びも大きくて味わい深いものになる。
喜びは、誇り、充実、確信、分かち合いといった類のものである。
地味で辛抱がいるが、健全な快活を得ることができ長続きする。

* * * * *

今回のシリーズ記事は、「志力」を中心テーマにしてきた。
志とは、言ってみれば「内発的×利他的(外に開く)動機」に基づく想いである。
志を抱くことで、無限のエネルギーを湧かすことができる。
志は他者の共感を得ることにより、膨らみながら強くなっていく。

したがって、本記事のタイトルの答え:
働く動機を「内発×利他」にシフトすると…
自分が元気になる。自分がひらいてくる。そして自分が社会とつながる。
―――こういうことになるだろうか。

現在、仕事・働くことをめぐる社会問題はいろいろとある。
また各々の仕事・職場にも個別の問題がはびこっていて、
多くが不機嫌なワーキングライフを送っている。
しかし、結局のところ、そんな時代に個人が行うべき最良の方策は、
100年以上も前にウィリアム・クラーク博士が発したこの言葉に辿り着く
――― 「Boys Be Ambitious!」 (少年よ、大志を抱け)。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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