みかんの消費量・「20年で半減」の謎をフレームワークで検証する

2010.01.30

営業・マーケティング

みかんの消費量・「20年で半減」の謎をフレームワークで検証する

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 ご自宅のリビングを見廻してみて欲しい。そこに、果物カゴに入ったみかんの山はあるだろうか。みかん市場に異変が起きているというが、もし、見あたらなければ、あなたもその原因の一端になっているのだ。

 <みかん消費20年間で半減 皮剥くのが面倒だから?>(2010年01月27日20時livedoorニュース / 提供:J-CASTニュース)
 http://news.livedoor.com/article/detail/4572604/
 
  上記の報道によれば<みかんの消費量は、二人以上の世帯で1988年には年間約32kg、2008年には約15kgと20年間でほぼ半減>だという。そういえば、筆者は大のみかん好きで手の肌が真っ黄色になってしまうほどだったが、最近はあまり食べなくなったなと思う。
以下、記事を要約する。

 業界関係者が原因を分析している。
 A:生活様式の変化
・「こたつの上にはみかん」であったのが、こたつそのものが無くなった。
・核家族化で「箱買い」から「小袋買い」になり購入量が減った。
 B:果物の多様化
・冬でも輸入果物、バナナやグレープフルーツなどもあり、選択の余地が増えた。
・みかんの最大のライバルがイチゴになり、人気品種も増えた。
・子どもの場合はお菓子の影響も大きい。
 NHKの「ニュースウオッチ9」でも取り上げられた。
 <街の人の声を聞いたところ、「剥くのが面倒くさい」「みかんの皮を剥いたときに白い筋が爪に入るのがいやだ」といった意見があった>という。

 では、何が起こっているのかを環境分析のフレームワークで見てみよう。王道のPEST→5F→3Cの流れだ。

 PEST(Political・Economical・Social・Technological)では、S(社会環境)は業界関係者の指摘の通り、住環境の変化「こたつがない!」は実は重要な視点だ。こたつに入り、ダラダラと惰性でみかんを食べる消費量は馬鹿にならなかったはずだ。さらに、健康志向・ダイエット志向の高まりで果糖のカロリーが忌避される傾向もあるだろう。カロリーを気にする消費者によって消費量が減った例は牛乳で顕著だ。同じ心理が働いている可能性は高い。
 P(政治的影響)は、少し強引だが、プラザ合意以降の円高による輸入果実の多様化が挙げられないだろうか。みかん消費量の基準年とされている88年より3年前だし、87年には先進7カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)でドルの下落に歯止めをかけるルーブル合意がなされたが、結局、協調介入が不十分でドルの下落は止まらなかった。さらに日米貿易協議の結果、1991年に牛肉とともにオレンジの輸入が自由化された。輸入果実は確実に増えた。T(技術的影響度)は、輸入物として日本に流入してきた果物が、生産技術の向上によって安価に手に入るようになった。例えばキウイなどは、現在輸入と国産が半々の比率になっている。輸入物の価格も押し下げられ、買いやすくなった。つまり、PとTでは、みかんの競合がゴッソリ増えてことを意味する。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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