志力格差の時代〈下〉~社会的起業マインドを育め

2010.01.17

組織・人材

志力格差の時代〈下〉~社会的起業マインドを育め

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

国力の衰えは志力の衰えから始まる。志力を育むためには、「ありがとう」を言われる原体験と「社会的起業マインド」の涵養が必要である。

彼は、
何も金儲けがやりたくて銀行家になったわけではない。
貧困にあえぐ人びとを救える方法を考えて考えた結果、
たまたまマイクロクレジットという手段に出会ったのだ、ということを自伝に書いている。

この自伝を読むと、
「想い」、もっと正確に言えば「社会的使命を自覚した想い」が
いかに自分の仕事をつくり出し、事業を興し、
スケールの大きなキャリア・人生を形づくっていく源泉になるかがわかる。

本連載の〈上〉編でも指摘したが、
「志力」(想う力・志す力)が弱りつつあるニッポンの若者・働き手たちには、
こうしたロールモデルを多く見せることが必要なのだ。
彼らはいまだ感受性が衰えたわけではない。
だから、よい見本刺激を与えれば、内面からきちんと火が点くようになっている。
(人間とはそういうものだ、そう信じたい)

「社会的起業マインド」は
社会のために意味のある仕事をしたい・事業をつくり出したい、
そしてそれは事業として回していけるものだ、の言い換えだが、
このマインドを醸成することは、教育が担うべき大きな役割といえる。
教育(啓育)は、何も学校・教育者だけがやるものではない。
親という立場から、家族という立場から、先輩という立場から、
上司・経営者という立場から、万人がやるものである。

そうした意味で、大人世代の人びとが(そして法人としての企業の一社一社が)、
「一人間・一世界市民の立場から共通善を志向し
どんな小さな仕事・事業でも、何か自分で考えてつくり出そうとする意識」を持って
一人一人の働き様・生き様として体現していくことが
何よりの後進世代への教育(啓育)となる。

* * * * *

志力の強い者と弱い者の格差が広がる社会で、憂慮すべきは、強と弱の格差というより、
志力を弱めている人間のほうがもはや多数派となり、
最弱のレベルがさらに落ち込んでいくことだ。
(志力が強い人間は放っておいて大丈夫。強い分にはどんどん強くなればいい)

仕事でありがとうを言われる原体験を持たない少年少女たちが
大人になってもありがとうを言われない仕事に就いていては、志など湧くはずがない。
そして、「社会的起業マインド」の涵養刺激をどこからも受けなければ、
彼(彼女)の中で、職業・仕事はますます、せせこましい“労役”に成り下がってしまうだろう。

---私は社会に諸々の格差問題がある中で、この「志力格差」は見過ごせないものだと思う。
国力の衰えは、個々人の志力の衰えからくるからだ。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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