安倍首相の突然の辞任劇は、モチベーションが多様化する中で、その点を意識した効果的なコミュニケーションがリーダーには求められることを痛感させるものとなった。 しかし、多様なモチベーションを意識した効果的なコミュニケーションとはいかにして実現できるのであろうか?
それは、表情の表現力に注目すると良くわかる。
こんなユダヤ人の箴言をご存知だろうか。
賢人ソロモン王が述べた言葉である。
As in water face corresponds with face, so the heart of a man with that of a man.
(水の表面で顔と顔が対応するように、人の心と心が対応するのである)
例えば、小泉前首相と安倍首相の相違は、表情表現力の差である。
小泉前首相は、たいへん喜怒哀楽がわかりやすい人だった。
表情による感情表現が比較的豊かだったと感じられる。
それに対して、安倍首相は、あまり表情の変化がなく、自己を厳しく律するような雰囲気を感じさせていた。
日本の伝統的な考え方からすると、安倍首相の表情を変えずに何事にも当たる姿勢は美徳と評価されるものであるが、モチベーションが多様化し、グローバリゼーションの多大な影響を受けている社会においては、自己のモチベーションを時事刻々と示し、喜怒哀楽を伝えられる方が効果的にコミュニケーションを取りやすいのである。
誰が次の総理ポストを獲るかが注目されているが、メディアを含め、社会と対話できる人は表情(表現力)が豊かな人であるに違いない。
組織のリーダーは、表情豊かにコミュニケーションをとることを心がけることにより、多様なモチベーションに対応できるのである。
なぜなら、多様なモチベーションが存在することを知覚している時代に、誰もが、相手がどのようなモチベーションであるかを知りたいと思うからである。表情の豊かさはその大きなてがかりを与えるものとなるのである。効果的な自己開示手段と言い換えることもできる。
表情の豊かさに欠かせないのが、笑顔である。
安倍首相の笑顔を見ることはあまり無かったように思う。
それに対して小泉前首相の笑顔を思い出すことは容易にできるのではないだろうか。
プレッシャーがかかる業務を遂行する上では、落ち着くこと(冷静沈着)は比較的誰でも表情で表現しやすいからである。
では、表情の豊かさは何から生まれるのであろうか?
積極的な考えは笑顔を生むのである。
もちろん,わたしたちの多くは,いつどんな時でもぱっと笑顔を振りまける俳優のようではない。
そうありたいとも思わないだろう。
むしろ,心から出る自然な笑顔を作りたいと思うものである。
あるコミュニケーションインストラクターは,「笑顔を作るといっても,形だけやったら『作り笑顔』になってしまう。……心を解放させることが大事です」と説明している。
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社インサイト・コンサルティング 常務取締役 COO(最高業務執行責任者)
個人と組織の成長を実現するために、真に効果的な人材育成のあり方を追求しています。国際競争力を併せ持つ能力開発を志ます。そのためには多様性を強みに昇華させることが肝要と心得ます。
