真似てはいけないトヨタの調達

2009.12.30

経営・マネジメント

真似てはいけないトヨタの調達

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

トヨタ自動車は、系列の部品会社に対し、部品価格を3年間かけて平均3割、一部の部品には4割の引き下げを求めている模様です。トヨタは、弊社が申し上げるまでも無く、世界的にすばらしい会社ですが、こと調達に限って言えば、トヨタは真似すべきでない、真似をするのであれば最後に参考にすべき会社だという事を明らかにします。

電気自動車の構造はシンプルで、部品点数は少なく、モジュール化が進む事から、自動車産業がすり合わせ型からパソコンのような組み合わせ型にシフトすると言われています。その変化を受けて、これまで世界的に見ても国策企業以外の参入がなかった完成車市場に、海外ではベンチャー企業が参入してきています。

自動車の産業構造が本当にこのように変化するのか、自動車の産業構造が大きく転換する中で、トヨタは「統合」アプローチを維持し続けるのか、自分達の直接取引先であるTier1は存続させ、それ以下の協力企業には「自由」の原理を持ち込むのか、Tier1も含めて「調達」するようにするのか、全く異なる概念の調達ベストプラクティスを築くのか、調達というより経営、ビジネスモデルの研究という観点で、トヨタが何れの道をどのように進むのかに弊社では注目しています。

それが成功の鍵であった自動車産業すら、そのアプローチの見直しが迫られる環境下で、取引先、サプライチェーンを固定化する「統合」は、その硬直性故、自分の首を絞める事になりかねず、あらゆる調達のオプションを検討した上で、出資をしてでもそのサプライヤを確保しなければならないという時にのみ選ぶべき、最後の手段と言えます。だから、弊社では、「たとえ世界の優良企業のトヨタのものであっても、その調達アプローチは真似てはいけない」とはっきり申し上げます。

※本稿は、弊社が発行しているメルマガ「週刊 戦略調達」の記事を編集・加工したものです。「週刊 戦略調達」は、調達・購買業務とそのマネジメント、コスト削減・経費削減のヒントを提供すべく、調達・購買業務のマネジメント、戦略調達のプロフェッショナルが、最新のトピックスから、調達・購買業務におけるトレンド、業務への影響を解説したものです。最近の記事のバックナンバーの閲覧やご購読は、http://samuraisourcing.com/knowledge/weekly/ にて行えます。

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中ノ森 清訓

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