安倍総理辞任に見る組織崩壊の視点

2007.09.13

経営・マネジメント

安倍総理辞任に見る組織崩壊の視点

槇本 健吾
株式会社インサイト・コンサルティング 常務取締役 COO(最高業務執行責任者)

安倍総理の突然の辞任会見は日本中を驚かせた。 小泉前総理からバトンタッチを受けてわずか1年ほど、特にこれと言った成果も残せずに、いきなりこのタイミングで退陣するというもの。 組織が崩壊していく典型的なケースとなった。 社会に対する求心力を失った政権は、たいへん脆いことも浮彫にしたが、企業組織のリーダーにも大きな教訓を残すことだろう。求心力の視点から考察してみよう。


安倍政権が発足してから、特に何かを成し遂げたわけではないのに、
世の中の空気はたいへん厳しいものに変わっていった。

政権の、コミュニケーション能力(マスメディアを介して)の弱さを指摘
する声もあれば、官僚の天下りを防止するための制度に注力し過ぎて
抵抗勢力を勢いづけてしまったとの見解もある。直近では、テロ防止
特別措置法への対応の仕方が拙いとの見解も出ている。

いずれも当を得ているが、真の問題点は、組織がなぜ崩壊に至るのかである。

例えば、安倍政権になってから年金記録ミスの問題などが噴出した。
なぜ、あのタイミングだったのか?

やはり政権に求心力がなかったことに起因する。
しかし、求心力はどこからくるのか?

コミュニケーションである。
特に人々のモチベーション(動機付け)に対する洞察を伴ったコミュニケーションである。

人々のモチベーションへの洞察が小泉政権の場合、一日の長があったと言える。

そして、これは、内閣だけのことではなく、企業や各種団体などにおいても、
起き得る組織崩壊の構図である。

様々な組織のリーダーは、単なるニュースとしてではなく、自らの組織をどう
崩壊せずに機能させていくかに関して考えてみる良い機会である。

丁度、多くの企業では、今年度下期に向けて目標管理制度(MBO)に基づく
上司と部下の対話が行われていることであろう。その際の大きなヒントにも
なるだろう。

例えば、上司であれば、自分の部下はどんなモチベーション(動機付け)で働いて
いるのかじっくり考えてみたことがあるだろうか?
また、企業で働く人々はどんなモチベーションで働いているのだろうか?と
考えてみたことがあるだろうか?

多くの方々と接し、話し合う内に以下のような様々な実感がモチベーションに
繋がっていることを見出した。

達成実感(業績や実績から来るもの)
承認実感(上司から評価されたなどの評価が与えられることに伴うもの)
帰属実感(あるブランドある組織に属しているというような感覚)
貢献実感(組織のために何か寄与しているという実感)
探求実感(より深く徹底的に究明しているという感覚)
創造実感(何か価値あるもの、美しいもの(審美的なもの)を生み出しているという感覚)
成長実感(以前よりも進歩しているという感覚)
倫理実感(正しいことをしているという実感)

では、これらの多様性のあるモチベーションに対してどんなアプローチをして
いるのであろうか?

多様なアプローチと寛容なアプローチを兼ね備えておく必要があるし、その
配慮も必要である。各実感は、それぞれの価値観に繋がっていることを考える
とアプローチは自ずと多様なものにしていくべきであることがわかってくる。

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槇本 健吾

株式会社インサイト・コンサルティング 常務取締役 COO(最高業務執行責任者)

個人と組織の成長を実現するために、真に効果的な人材育成のあり方を追求しています。国際競争力を併せ持つ能力開発を志ます。そのためには多様性を強みに昇華させることが肝要と心得ます。

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