「坂の上の雲」から学ぶ、マネジメントの原理・原則

2009.12.08

経営・マネジメント

「坂の上の雲」から学ぶ、マネジメントの原理・原則

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

日清・日露戦争を舞台とした、かの有名な歴史小説「坂の上の雲」 (司馬遼太郎著)がドラマ化されました。 この偉大なる歴史小説には、現代のビジネスマンが学ぶべき、マネジメントの原理・原則が随所にちりばめられています。 「坂の上の雲」は、いわば、「マネジメント教本」と言えます。  この教本から学べるマネジメントの原理・原則のひとつをご紹介し たいと思います。

◆金子は、雷を打たれたように感動し、さっそく渡米し、その後の
ルーズベルト大統領による歴史的な講和を、情熱と人脈と周到な準
備、情報戦略によって実現させたのでありました。

「強大なロシア帝国との戦いに勝って、欧米列強と対等な国とし
ての地位を確立し、清国や朝鮮などの他アジアの国々が民族の誇り
を踏みにじられ、苦渋をなめさせられている欧米列強による植民地
政策から、日本は逃れ、世界に冠たる独立国として欧米世界に認め
てもらうこと」
 

これが、当事の頑健なる「事業目標」に他なりませんでした。

◆一方のロシアは、ニコライ二世の専制君主政治が終焉を迎えよう
としている時代ではあるものの、皇帝一人の独断で国家戦略の方向
性とその運命までも決定してしまうものでした。

◆当時のロシアは、その覇権主義を盾に、フィンランド、ポーラン
ド、バルト海沿岸、アルメニアなど、自由と独立を求める民族運動
盛んな地域へ遠慮なくその武力を背景に、冬眠前の植えた熊のよう
に、侵略的領土拡大政策を展開中でありました。

◆日本を含む極東アジアの利権獲得のための進出は、そういった
くの事業の中の単なる一事業
に過ぎず、当時の首都であるペテルブ
ルグの、露帝ニコライ二世の独断的、高慢的、自己満足的な事業の
様相を呈しておりました。

◆後に大敗を喫する旅順の要塞や、バルティック艦隊などに所属し
て、日本軍の乃木大将や東郷元帥らとの激しい戦闘に加わった高級
将校や兵士達、あるいは広大な土地に昔ながらの封建主義の中で暮
らす一般市民や農民などロシアの一般庶民の頭の中に、日本人全員
が共有していたような事業目標があったのでしょうか? 

◆彼らが、どれほど、日本との戦争に対して、自分たちの行く末を
左右する重要な国家事業としてダブられせて認知をし、国家存亡の
危機と捉え、その成功に全国民がその熱い魂を注ぎ込んだかどうかと
考えると、甚だ疑わしいところであります。

◆さらに、国家的存亡を掛けて戦う覚悟を国民総意で決めた命がけ
の日本という競合相手、コンペティターを大変甘く見ておりました。
これは、マーケティングの見地から見ますと、色々示唆に富むとこ
ろが多いので、別な機会に分析したいと思います。

◆ここでの原理・原則は、当時の日本が、ロシアよりも、事業目標
を徹底的に明確に描いており、それが国民一人一人にまで行き渡っ
ていた
がために、火の玉一丸となって、その事業目標の達成のため
に俊敏にかつ軽快・臨機応変に突き進むことが出来たという点であ
ります。

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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