『鉄腕アトム』にあって『座敷童子』にもあるもの。

2009.10.29

ライフ・ソーシャル

『鉄腕アトム』にあって『座敷童子』にもあるもの。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

手塚治虫生誕80周年となる記念すべき年。『鉄腕アトム』がハリウッド版『ATOM』となってリメイクされた。世界進出である。日本で生まれた『鉄腕アトム』が、なぜ、これほどまでにハイパフォーマンスなのかを、改めて考えてみた。

プリウスとアトムのコラボレーションが、ハイパフォーマンスとなりうる根本的理由は・・・私たち人間が、地球に対して後ろめたいと感じているからである。21世紀を無事に過ごすための「人柱=プリウスとアトム」を見つけることができたからである。

「鉄腕アトム」は、その後のニッポンのアニメ界に多大な影響を及ぼした。それは、アニメーションの技術的なことだけではなく・・・アニメが、そんな「個」を乗り越える力を持つという実証をしたことが大きい。鉄腕アトムやガンダムやエヴァンゲリヲンが、若者達の代わりに「人柱」となってくれているおかげで、この日本に、正義の物語の均衡が保たれている。

「MOTTAINAI」発のハイポップカルチャー。


鉄腕アトムは、戦闘で壊れる度に、お茶の水博士に「お直し」された。子供ごころに、アトムをもっと大きなロボットにしたらいいのにと思っていた。そうすれば、もっと簡単に事件は解決できたろうに。しかし、いま思うと・・・小さな身体で、大きな問題を解決するところに主題があることに気づく。鉄腕アトムが、ウルトラマンみたい大きかったら、、、それは、ハイパフォーマンスとは言い難い。

手塚治虫は、戦後の矮小でちっぽけな日本人が、世界を創造し、語り尽くすことの面白さを後世の多くの漫画家へ遺したのだ。

日本は、欧米のように一神教ではない。八百万(やおよろず)の神がいる社会である。散る桜の花びらや、その吐息の一つ一つにまで命が宿り、神がいると感じる。矮小でちっぽけな我々人間が、森羅万象に対して慈しみや感謝の念をもって生きてこそのジャパンカルチャー。

科学の子であり、神の子でもある「鉄腕アトム」は、まさしく日本の「MOTTAINAI」発のジャパニーズ・ポップカルチャーである。世界的に見て、日本のポップカルチャーがコストスパフォーマンスも高いと言われるのは、そういう心根にある。

※本投稿記事は、福岡県主催の「アジアンビートオリジナル ポップカルチャーコラム」に記載したコラムを転載したものです。
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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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