交流会からの刺激

2009.10.17

経営・マネジメント

交流会からの刺激

野町 直弘
調達購買コンサルタント

このメルマガや著書などでも何度も取り上げていますが、調達・購買業務に携わる方、関連する方を対象に「購買ネットワーク会」という交流会を2005年に立上げました。この9月には何と22回目の会が実施され今までに300百人以上の方が参加されたのではないかと思います。 まさに日本最大の調達・購買コミュニティと言えるでしょう。

・(私も書いていますが)調達・購買関連の著書が増えているが、
商売につなげるためには本の書き方がポイント。という当たり前の事実
 私は著書にしても、様々のレポート、メルマガの類であっても
「こうあるべき」ということをつらつらと書いても
あまり意味があることではないのでは、と日々考えています。
これは読者側の取組みにもつながるのですが、サプライヤ管理で
VOS(ボイス・オブ・サプライヤ)を収集することが「あるべき姿」です。
と言っても企業によってはそんな手法は不要である、なんてことは普通にあります。
逆に「こうあるべき」ということを列挙し出来ないことに力を注ぐことは
却って危険だと思います。
 一方先日のネットワーク会である方が購買本についてプレゼンされたのですが、
その中で「あるべき論」をとうとうと述べている
(それも購買部門長や経営者層に対して)ような本であれば
上の方は具体的なやり方がわからないので当然のことながら、
その本を書いた方に相談に行く。
(つまり執筆を商売につなげたいのであれば「こうあるべき」を書くべき。)
というお話でした。
ご指摘ご尤もでして、考えてみれば私は現場経験を踏まえて
現場の方の悩み解決のために少しでもヒントになればと考えていたわけですが、
改めて「私は商売下手」だということを実感いたしました。

・体系化しない限り購買領域の発展はない。という素晴らしい気づき。
 これも以前からの知り合いのバイヤーさんなのですが、
その方はMOT(Management of Technology)コースに通い始めたとのことでした。
お忙しい方なのに何故?と伺ったところ、
「日本の調達・購買は学問として体系化されていない。
やはり大学の講義としてカリキュラム化されるようにしていかないと
発展はないから。」ということでした。
私自身、このようなネットワーク会の立上げ、本の執筆、
コンサルティングのソリューション化、研修カリキュラム、
CPPの立上げ支援等を通じてまさに「体系化」していこうと思っていたのですが、
このバイヤーさんの言うようなアカデミックな世界に
布教していく活動は殆どできていませんでした。
このバイヤーさんのおっしゃる通りですし、
私も今後できればアカデミックな世界での活動もしていかなければならないな、
という気づきがありました。

・優秀なバイヤーは明確な意思を持っている。という当たり前の事実。
 購買ネットワーク会ではほぼ毎回ケーススタディの演習をするのですが、
本当に「よくあるケース」をやっています。
ケースは現役バイヤーの方が作っているので「よくあるケース」であることも
当たり前と言えば当たり前なのです。
これらのケースはビジネススクール(私は通ったことがないので違うかもしれませんが)
で使われるケースよりもより実践的な現場に近いものと言えるでしょう。
これだけ実務的なケースをよく作れるな、という感心もありますが、
毎回毎回感じるのは答えの多様性、グループ毎、グループ内の各人毎に答えが
正反対などということも多くあります。
今回も私のグループ内ではだいたい答えがまとまったのですが、
他のグループで同様の回答をしたグループは皆無でした。
逆に言うと「そうかこういう考え方もあるのだな」という気づきばかりです。
それと共に今回改めて感じたのは
「明確な意思を持っている」バイヤーが多いということです。
何かを聞くと「私はこう思う。何故なら・・・」というように
皆さん答えてくれます。
仕事をしていて「私はAだと考えます。何故なら・・・」という
明確な意思を持っている方はなかなかいません。
私のようなコンサルタントとしても求められる能力ですが、
アジルの全員できているかというとできていないでしょう。
褒めすぎと言われるかもしれませんが、
今回は特にバイヤーの皆さんの明確な意思というものに改めて驚かされました。

今回は購買ネットワーク会からもらった多くの刺激について述べましたが、
「本当に凄い会だな」というのが結論ですね。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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