開発購買という活動

2009.10.17

経営・マネジメント

開発購買という活動

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

調達・購買業務を進めていくと必ずと言ってもいいほど突き当る壁は 「図面や仕様書が出された後にできるコスト削減活動には限界がある」 ということです。 それを克服しようということから「開発購買」という考え方がでてきています。

調達・購買業務を進めていくと必ずと言ってもいいほど突き当る壁は
「図面や仕様書が出された後にできるコスト削減活動には限界がある」
ということです。

作るものが固まっているほど、原材料、工法、工程、対応可能な
サプライヤの選択肢は狭まっていくと言えます。
図面の中には「AサプライヤのXXX同等品」というように
購入品を指定されてしまうケースも少なくありません。

このような状況を打破するために
自動車等の一部業界では(新製品)原価企画活動という
活動が行われてきました。
自動車業界でも原価企画活動は
元々経理や購買などの事務方が主導する活動でしたが
最近では設計部門が主導して
新製品の目標コスト達成のための役割を担ってきているようです。

いずれにしても開発上流段階で
「コスト、品質、デリバリ」の作り込みを行う活動については
製造業各社にとって生命線と言える活動とも言えるでしょう。

2000年位だと思いますが、このような開発上流段階での
「コスト、品質、デリバリ」の作り込みを行う活動を
「開発購買」というキーワードとして捉えるようになりました。
考えてみれば「開発購買」という言葉自体、何と言いますか、
訳のわからない言葉です。
「開発」の「購買」? 何故「購買」なのか?
「購買」という言葉が使われているのはおそらく
「購買部門が主導している活動」だからと言えるでしょう。
つまり購買部門が何らかのニーズから、こういう活動を進めなくてはいけない、
ということで使い始めたということだと思います。

このように「開発購買」という言葉について考えただけでも、
どうもよく分からないことが多い、と私は考えてしまいます。
何故かというと先の自動車業界の話ではありませんが、
開発上流段階で特に「コスト」を作り込んでいくことは、
そもそも設計、購買の主業務です。
ようするにやっている企業はやっているし、
やれるバイヤーは普通にやっている業務です。
これはバイヤーだけでなくエンジニアでも同じことです。
最近は低価格品というのは一つのコア技術になっています。
つまりエンジニアにとっても製品目標コストを達成することは主たる業務、
役割の一つになっている筈です。

このように考えると大袈裟に取り上げて
“「開発購買」を進めましょう”ということ自体
矛盾をはらんでいるとも言えます。

最近よく耳にするのは「開発購買」を推進する部隊や
新しいグループを作り開発購買を促進するという動きです。
各企業によって様々な事情があるので一概には言えませんが、
開発購買グループを作ったことで、
技術視点でサプライヤ選定ができるようになった、とか
VE活動が促進された、原価企画活動がスムーズに進むようになった、
という企業は多いようです。
「開発購買」と大袈裟に言っていますが、簡単に言えば、
開発と購買のコミュニケーションをよくし、
必要な情報を必要な時に必要な人に提供できていることが求められる訳ですから、
ある意味開発購買グループが機能することは当然でしょう。
何故なら開発購買グループに配属されている方の多くは開発出身者だからです。

しかしどうでしょう?あるべき論で考えた場合、
本来の開発や購買の主要業務をお互いに拾えていなかったのですから、
恒久的な組織になるべきではないのではないかと私は考えます。
開発購買グループが持っている能力や機能、
もっと本質的には意識も含めてですが、
それらをバイヤーやエンジニアに移管することが
将来的には必要ではないでしょうか?

そのような能力、機能、意識の移管を仕組みとして作れ、尚且つ定着させることが
企業の競争力の源泉の一つになっていく時代になってきていると考えます。

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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