10年間続いた「いかに安く作り、安く売るか」というトレンドは終わろうとしている。今後は、「いかに高く売るか」というファッションビジネス、ブランドビジネスの発想が求められるだろう。
中国の人件費が上がり、人手不足が顕在化している。中国の縫製業者も欧米への輸出、内販を志向しており、日本向け輸出は敬遠気味だ。中国の為替もジワジワと上がっている。円安元高は中国からの輸出ビジネスをより困難にするだろう。
既に、知人の中国人は「中国から日本への流れは終わった。これからは日本から中国への流れが始まる」と言って、日本から中国への輸出ビジネスを考え始めている。もちろん、輸出といっても、モノだけでなくノウハウやサービスも含まれるのだが。
中国は、外貨準備高で日本を抜いて世界一になり、GDPも二桁成長を続けている。私は上海政府関係者から「最早、中国は外貨を必要としていない」という言葉を聞いた。日本の80年代の始めのように、中国政府は輸入促進を政策として掲げようとしている。今年は中国輸入促進元年になる。来月9月には、上海で第一回輸入博覧会が開催される。この動きは、今後も加速するだろう。
中国のコスト高を嫌って、東南アジアに生産基地をシフトする「チャイナ・プラス・ワン」の動きも目立つが、実際にベトナムに進出している縫製メーカーの社長によれば、「もうベトナムでも縫製には人が集まらない」とのことだ。
ここ10年というもの、日本ではいかに安く作り安く売るかに熱中していた。しかし、そのトレンドも終了しようとしている。今後は、「いかに高く売るか」というファッションビジネス、ブランドビジネスの発想がより求められるに違いない。
このデフレビジネスからインフレビジネスへの転換は、あらゆる業種業態で発想の転換が求められるだろう。
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2009.02.10
2015.01.26