「博多 一風堂」河原成美物語5 世界戦略の成算は?

2009.09.30

経営・マネジメント

「博多 一風堂」河原成美物語5 世界戦略の成算は?

ITmedia ビジネスオンライン
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「博多 一風堂」など、日本のラーメン界を牽引してきた河原成美さん。2018年に経営の第一線から身を引くという河原さんは、どのような人物に「一風堂を継いでもらいたい」と考えているのだろうか? [嶋田淑之,Business Media 誠]

 しかし、こうした設備投資やそれに基づく教育プログラムと並んで重要なこと――それは社内にゆらぎを与え、社員スタッフの意識を変革志向にすることで、今まで以上にイノベーションを創発しやすい風土にしていくことだろう。これまでも、そして将来も、同社にとって絶えざるイノベーションこそが生命線だからである。

 「そうなんですよ。そのために次のようなことを実践しています」と河原さんは語り出した。

 「1つは“社内暖簾(のれん)分け制度”の促進です。暖簾分けして成功し、例えば年収1000万円稼いでイキイキと輝いている仲間を見ることで、社内のスタッフの意識は大きく変わるんです。このままの自分で良いはずはない。自分も変わらないといけないと。

 2つめは、社員スタッフによる“厨房車ワークショップ”です。各地の小学校に出向いて子どもたちにラーメン作りを教えています。もちろん、子どもたちに職業体験をさせていることに意味があるのですが、実はそれ以外にも重要なことがあるんですよ。それは、目を輝かせて嬉しそうにラーメンを作る子どもたちの姿に接することで、スタッフ自身が、自分たちのラーメン作りの原点を思い出すことです。多忙な日常の中で、いつしかルーティンに陥っていたラーメン作りを、もう一度、原点から再構築しようという気持ちに結びつくんです。

 そして、3つめは人事改革です。改革スタートから18カ月になりますが、大幅な人の入れ替えの結果は、2010~2012年ころに、じわ~っと出てくると考えています」

 2018年に向けて、河原さんが人作りにいかに心血を注いでいるかが伝わってくる。

「博多 一風堂」ニューヨーク店成功に見る世界戦略の成算

 2018年の承継に向けて、魅力あふれる企業作りを掲げる河原さんであるが、そういう意味で世界戦略は、どのくらい魅力的な存在になっているのか気になるところである。すでに進出したニューヨークを皮切りに、年内にはシンガポール、2010年はロンドン、さらに近い将来には、フランス、中国、タイ、オーストラリア、ロシアにも出店して、ラーメンを切り口にした日本文化の啓蒙・普及を目指している。実際問題として、その世界戦略にはどれくらいの成算があるのだろうか?

 「海外に約2万件のジャパニーズレストランがあることからも分かるように、日本の食は世界各国に広がりつつあります。この傾向は今後、さらなる広がりを見せるでしょうし、それとともに、より一層『ホンモノ志向』が強まっていくでしょう。そういう意味からも、潜在市場は非常に大きいと読んでいます」

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