国際会計基準対応の固定資産管理に悩む前に

2009.08.08

経営・マネジメント

国際会計基準対応の固定資産管理に悩む前に

野口 由美子

国際会計基準では固定資産について非常に面倒な取り扱いが規定されていて、固定資産管理は頭の痛いテーマです。今回は中小企業向け国際会計基準との比較でその取り扱いをご紹介します。

本サイトへの投稿記事は
aegifの国際会計基準専門ブログ IFRS of the day(http://aegif.typepad.jp/ifrs/)より引用しております。

国際会計基準では資産の評価を適切に行うことを重要視しているため、固定資産の取り扱いではいろいろと面倒な処理が規定されています。
そういうこともあって、国際会計基準を適用しているヨーロッパ等では固定資産台帳を2つ、3つ持って管理しているという話もあります。

今回は国際会計基準の固定資産についての処理について3点、中小企業向け国際会計基準との違いを比較しながらご紹介したいと思います。

①再評価モデル

再評価モデルというのは、固定資産を購入した金額から減価償却をした額で評価するのではなく、期末の公正価値(時価)で評価するというものです。
日本の会計基準にはそもそもこのような処理はありませんが、
国際会計基準では再評価モデルを選択することができます(このような処理が強制されているわけではありません)。

中小企業向け国際会計基準では、
再評価モデル自体選択することができません。
毎期時価を調べるというのは非常に面倒なのでそもそも選択肢として認める必要もないだろう、というところでしょうか。

②耐用年数、残存価額、減価償却方法の見直し

国際会計基準では毎期末に固定資産の減価償却が適切か、耐用年数、残存価額、償却方法を見直さなくてはなりません。陳腐化が進んでいるとか、使用状況が変わったとか、変化があればそれに合わせて減価償却も変えていかなくてはなりません。

中小企業向け会計基準では、
そこまで厳密な見直しは必要なく、価格の変化や技術革新など変化の兆候があった時にのみ見直しをすれば良いということになっています。

③借入費用の資産計上

国際会計基準では特定の固定資産の購入するために借入を行なった場合、その借入の支払利息等は固定資産と一緒に資産計上しなければなりません。

中小企業向け国際会計基準では、
このような処理は必要なく、支払利息は発生した時の費用として計上することになります。この処理の方がシンプルです。

国際会計基準では固定資産の減価償却等の処理を税法と同じやり方で済ますことができなくなる可能性が高いと思います。
国際会計基準、中小企業向け国際会計基準、それぞれの内容を理解して戦略的な固定資産管理を行なっていく必要があるのではないでしょうか。

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