採用試験の謎を解け!――企業側から見た新卒採用戦略

2009.06.16

組織・人材

採用試験の謎を解け!――企業側から見た新卒採用戦略

ITmedia ビジネスオンライン
“ニュースを考える、ビジネスモデルを知る” ITmedia 編集部

企業を継続的に成長させる上で大切な人材採用。選考過程では筆記試験や面接などさまざまな試験が課されるが、それぞれにどのような意味があるのだろうか。複数の就活生や人事担当の方のお話を聞いた上で、アイティメディア総務人事部の浦野平也氏に補足いただいた。[森田徹,Business Media 誠]

 まず企業の新卒者選考過程を見てみよう。新卒採用の選考は(1)ESによる書類選考、(2)筆記試験、(3)GD(グループ・ディスカッション)、(4)面接、の4つに分類できる。もちろん、企業によっては(1)と(2)が融合していたり、(3)が省略されていたりとバリエーションはさまざまだ。

 これらの過程でどういったふるい落としが行われるかは、各企業の人的資源に対する考え方によって左右されてくる。少しだけ人事の視点に立って、人的資源について俯瞰的に考えてみよう。

 人的資源にもパレートの法則が成り立ち、上位2割程度の“光る”人材、中位6割程度を占める“普通の人”、下位2割程度の“明らかにその企業に合わない人材”に分かれるそうだ。下位2割はどの企業でも必要とはされないのだが、問題は中位6割の扱いである。

 新卒採用戦略を見ると企業は2パターンに分かれ、上位2割の上澄みのみを必要とする“質”重視の企業、組織が巨大なためにある程度の“量”が必要な企業に区分できる。例えば、当初はベンチャー企業で新卒には質を重視した採用方式をとっていた企業でも、事業が大きくなるにつれ、組織に厚みを持たせるため“量”重視の採用方法に転換し、中位6割もすくい取れるような採用方式をとっている場合がある。

就活の“足切り”――書類選考と筆記試験

 上位2割の上澄みのみを必要とする時、ESでは目をひくもの、SPIやGMATといった筆記試験の場合も成績上位者をまずは選抜すれば良い。むろん、ここで言う目をひくものとは、バブル期の一般職のESで流行ったような、キャッチーなフレーズなどを用いたアピール力を問う類のものではない。経歴や資格、文章の論理性など、人事部の定性評価で明らかな異質さが認められた人材が残るのだ。

 これについては「数百と見ていけば上位2割とそれ以外の差が歴然という感じ」(浦野氏)という相対評価でしかないので、文章で明確な基準を示すことはできない。とはいえ、個人的な話をすれば、筆者もサークルの入会者選考などで人を評価しなければいけない立場に立たされることがあるが、確かに上下各 2割の層は書類選考の段階で峻別できるものである(さすがにサークルではESだけで落とすことはしないが……)。

 とはいえ、大多数のボリューム重視の大企業が行っている方法はとてもシンプルで、下位2割を落とすためのものである。学歴フィルターが存在する企業もあるだろうが、明らかに客観性や論理性に欠いたESを書いてくる、基本的な“御社の事業内容”さえ理解していないなど、面接をするコストももったいない者を切る“足切り”の過程が書類選考である。

次のページ面接では何を見ているのか?

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