自転車はブルースだ、と忌野清志郎は言った

2009.06.18

営業・マーケティング

自転車はブルースだ、と忌野清志郎は言った

ITmedia ビジネスオンライン
“ニュースを考える、ビジネスモデルを知る” ITmedia 編集部

先日亡くなった忌野清志郎氏が「楽しくて、つらくて、かっこいい。憂うつで陽気で踊り出したくなるようなリズム」と語った自転車。街を走る自転車を見ていて、それぞれに特徴があることに気付いた筆者は、自転車乗りを4類型に分けて分析してみた。[郷好文,Business Media 誠]

 「自転車はブルースだ」という名言を遺したのは故忌野清志郎氏である。

 いったい自転車のどこがブルースなのか? ブルースとはもちろん黒人の演歌を意味するのだが、それだけでは忌野氏の真意は伝わりにくい。彼は著書『サイクリング・ブルース』でこう語る。「楽しくて、つらくて、かっこいい。憂うつで陽気で踊り出したくなるようなリズム」、それが自転車でありブルースだと。

 お尻をひょいと上げてペダルをこぐ。バランスを取って背中をピンとする。凹凸いっぱいの道路のリアリズムと向き合い、風に押し戻され、自動車や歩行者と駆け引きする。悲しくても、こぎだせば心はポジティブになる。ママチャリにも本格的なバイクにも、サイクリングにはブルースがある。

ムラのある立ちこぎ屋

 ある朝、忌野氏の死と自転車のことを考えて自転車をこいでいた。気付くと、前を行く自転車に接近していた。紳士服量販店のヤワな背広を着る若い男性は、やおら“立ちこぎ”に移行した。サドルに腰掛けないで自転車をこぐスタイルだ。

 しかし彼の立ちこぎは足に体重が乗っておらず、立ちこぎの割にとても遅い。しかもペダル何回分か立ちこぎをすると、右足を下、左足を上にした立ちポジションになって、惰性だけで走る。止まりそうなスピードまで落ちると、再び立ちこぎをして勢いをつける。スピードが上がると、また立ちポジションで惰性走行。その繰り返しなのだ。走りにムラがあって、立ちこぎのエネルギーがモレ漏れである。

 なんてヤツだ。道交法順守ときどき自己解釈の私は、スピードを上げて走るタイプ。邪魔なので軽く追い越した。だが追い抜いて信号待ちをしていると、立ちこぎ屋が追いついてきた。「何てことだ、フン」と思ってペダルを力んで踏んだが、生活者洞察をメシの種とするマーケティング屋として気付いた。立ちこぎ屋にも、彼なりの“リズム&ブルース”があるのだ。

自転車こぎをめぐる4類型

 1970年頃、日本マクドナルド創業者の故藤田田氏は、銀座中央通りを歩く人波を望遠鏡で観察していたところ、歩くスピードが早まっているのに気付いた。そして「早食いが流行する」と感じた藤田氏は、ハンバーガーチェーンを展開していったのだ。

 まず前述の「ムラのある自転車こぎ」タイプ。立ってはこぎ立ってはこぎ、でもあんまり前に進まない。頑張っても結果が伴わないから止めてしまう。ハウツーものを読みあさり、テレビを聞きかじり、スキルアップやダイエットをやるけれどどれも貫徹できない。そうやって年をとっていくのかもしれない。ペダルにも生きざまにもいまひとつ体重が乗らないタイプ。それでも立ちこぎするケナゲな彼らを“タチコギィ”と命名したい。

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