オバマのChangeが日本にもたらす悪夢

2009.06.07

ライフ・ソーシャル

オバマのChangeが日本にもたらす悪夢

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

オバマ政権が誕生して5ヶ月弱。「Change」を合言葉に誕生した新政権は、世界をどう変えていくのだろうか? 宮台真司『日本の難点』にあった興味深い視点をもとに考えてみた。

けれども戦後の日米安保、米国による日本の安全保障維持から食糧確保、さらには自動車業界に象徴される日本のメーカーのアメリカ依存状況などを総合的に踏まえるなら、日本とアメリカが「抜き差しならない」関係、それも日本がアメリカに対して従属的であることはほぼ間違いないのではないか。

日米関係と日中関係の違い

ではアメリカにとっての中国とは、どんな存在になるのか。日本同様、年次改善要望書を中国にも出すことは可能だろうか。答は『あり得ない』である。

つまり日本に対してアメリカは高飛車に出ることはできても、中国に対して同じ態度を取ることは絶対に無理ということだ。さらに突っ込むなら「米国債」を人質に取られたアメリカが今後、中国のご機嫌を損なうような行動をとることは一切できない、とも考えられる。

だから国内情勢がようやく落ち着きかけた時点で、まずガイトナー財務長官が中国に出向いた。目的は一つ、今後も継続的に米国債を買い支えてくれるよう「頭を下げる」ことだったはずだ。ちなみに今回ガイトナー氏は日本をスルーしている。GMの破綻処理の合間を縫っての訪中とあれば、いつでも言うことを聞く日本にリップサービスしにくる余裕はなかったのだろう。

逆にいえば、GM処理が絡んでいるだけに、何としても今は中国の協力が必要だったということではないか。

駐日大使と駐中大使

アメリカの中国に対する気の遣いようは、大使人事にも表れている。駐中国大使に指名されたのは、民主党ではなく共和党のハンツマン氏。同氏は中国語に堪能で、中国を理解し、米中間の貿易問題にも精通しているという(→ http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200905200017a.nwc).

「一方で駐日大使に決まったジョン・ルース氏はどうか。外交経験はなく、大使としての手腕も未知数(→ http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090601-OYT1T01173.htm)」らしい。少なくとも駐中大使のハンツマン氏が中国語に堪能であるように、ルース氏が日本語に堪能であるということはなさそうだ。そして職歴は弁護士である。

それでも駐日大使は務まる、との判断が、この人事の背景にはあるはずだ。深読みするなら、日本に対しては特に何科を理解する必要はなく、むしろ弁護士として培ったスピーチテクニックを駆使して論理的恫喝を行え、という指示ぐらいはあったということなのかもしれない。

次のページ焦点は中国の『Change』と変わる世界のパワーバランス

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