マクロな視点からリーダーに、なぜ今、根源性が求められるのかを考えてみたい。先月の参院選は、国民全体の視点が短期的になってきていることを如実に示すものとして興味深い。そこには、「真の成長を待てない」時代と人々の姿が投影されているように感じる。他のメディアに寄稿して反響が大きかった記事をリーダーシップの視点から眺めて再考してみる。
先月(7月)29日に参院選が行われ、結果が明白になりました。
自民党が議席を相当数失い、民主党が躍進したことは
ニュース報道でご存知の通りです。
選挙は国家の未来をどのような基準で国民が選択しているかを
知るバロメータとなります。
一人ひとりの生活のしやすさを訴求して、「生活維新」をテーマに
した民主党が支持を集めたと言えます。
中立的なスタンスから分析してみると、
国家という単位よりも、個という単位により大きな関心が持たれるよう
になり、未来という中長期的展望よりも、明日という短期的展望が重視
されているようになったのだとつくづく実感しました。
年金記録問題に端を発して、結果がついてきたような感じです。
各党のマニフェストにも、短期的に個人に影響を与える項目が並んで
いたことも印象的でした。
ただ、「国家の未来」という観点から考えると、更に大切なことがあるのではとも
感じます。
例えば、先見性に基づいたグローバルな視点での国家戦略などが、より重要だ
と言い換えることができます。
例えば、良く指摘される点ですが、年金記録問題は、その記録が失われている
方(個人)にとって大問題です。
人生に関わる非常に重要なことであることは誰もが認める通りです。
ただし、年金制度そのものが将来にわたって機能するかどうかは、国民全員に
関わることで、当面の個の問題以上に大きな影響が心配されます。
年金記録問題は、年金制度問題の本質的な部分の論議を脇に押しやってしまう
負の効果があったのではないでしょうか?
また、食の安全などで、中国産などの輸入食材に依存する比率が高い現状は、
国民の健康と食料安全保障の観点から大きな不安要素となります。
食料自給率が30%台というのは、何とも危なかっしい数字です。
食料供給国の国内事情で、かなり価格が左右されることになります。
更に世界的な見地では、水資源の問題(きれいで安全な飲料水)が注目されてい
ます。
食の安全と自給率の向上については、3次元農法などの取り組みが「民間」の
領域から意欲的に行われています。
発端は、都市やビルの緑化(ヒートアイランド防止)でした。
マンションのベランダなどの小さなスペースでも、トマトやきゅうりなどが効果的に
育成できるというものです。
また、水資源の点から言えば、発電所に力を入れるくらいの勢いで、各地に海水
淡水化プラントを建設しておくなどの国策があれば、災害時の水供給をはじめ、
国民が安定して生活を営むライフラインを確保することになります。
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社インサイト・コンサルティング 常務取締役 COO(最高業務執行責任者)
個人と組織の成長を実現するために、真に効果的な人材育成のあり方を追求しています。国際競争力を併せ持つ能力開発を志ます。そのためには多様性を強みに昇華させることが肝要と心得ます。
