仕組みを仕込むディズニーの魔法

2009.05.07

経営・マネジメント

仕組みを仕込むディズニーの魔法

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

2008年度の入場者数は過去最高。世界的な不況など「どこ吹く風」とばかりに東京ディズニーリゾートが好調だ。なぜディズニーだけは、一人まるで異次元にでも存在しているかのように人気を集めているのだろうか。

ではディズニーの魔法とは何だろうか。あるいはUSJにはなくて、ディズニーにしかないものとは何だろう。飲食店を分析するときに使う4つの指標(QSCA)でディズニーとUSJを比べてみれば、どこか違うのか?

まずQuality。アトラクションに関しては、好みの問題はあるにせよ、それほど(リピーター率が95%を超えるほどの)違いはないだろう。
ではAtmosphere。これまた、飛び抜けた差があるとは思えない。
するとCleanlinessに関しては、そもそも圧倒的な差がつくはずもないのだから、結局はServiceということになる。

ディズニー本とUSJ本の違い

Serviceに関しては、もしかしたら明確な違いがあるのかもしれない。個人的な感覚はおくとして、その違いが出ているのが本ではないだろうか。Amazonで「ディズニー(もしくはディズニーランド)」と「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(もしくはUSJ)」で検索してみると、その差は一目瞭然だ。

USJの方はガイド本がほとんどであるのに対して、ディズニーの方は、そのサービス・経営などディズニーのすばらしさを分析・解説・賞賛した本が何十冊もある。この差をどう考えるか。

もちろん今後、USJを舞台としてそのサービスのすばらしさを解く本が出る可能性はある。方やディズニーの方には四半世紀の歴史がある。だから、そのサービスについて書かれた本がたくさんあっても不思議ではない。

それにしても、ディズニー本は多い。こうした多くの本が『ディズニーのサービス神話』を側面から支持していることは間違いないだろう。逆にいえばディズニーは、これほど多くの著者を引きつけて「書きたくなる」要素を秘めているわけだ。さらに補足するなら、出版社サイドとしても、これだけたくさんのディズニー本を出しても採算が取れると判断しているのだろう。

もしかしたら、これこそが最大のディズニーマジックなのかもしれない。

※参考
日経MJ新聞2009年4月27日号

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