紙芝居師業界の栄光と今後を考える

2009.04.23

営業・マーケティング

紙芝居師業界の栄光と今後を考える

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

紙芝居師、安野侑志(やすの・ゆうし)氏をご存じだろうか。「ヤッサン」の名で親しまれ、芸歴37年というキャリアを誇るプロの紙芝居名人だ。

安野侑志氏は京都国際マンガミュージアムを中心に、地域イベントやデパートや不動産の展示場での活動を展開。1回の講演料は20~30万円、年収1000万円を稼ぎ出すという。
その紙芝居師の現在と未来をPEST分析で考えてみよう。

<不況でも年収1000万円? プロ紙芝居師が高収入の理由>
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0902/24/news058.html

上記「Business Media誠」の記事によると、<2003年までは年収500万~600万円だった>のだが、<学校の週5日制が定着し、文部科学省や市町村教委の支援を受けながら、毎週土曜日に町内会や地域の行事で紙芝居を行うようになり、それにつれて収入もアップ。それまでは5万~10万円だった1件の公演料が20万円に急増し、いまは30万円に達している>という。地域イベントでは1回の講演料は1回5万円が限界だが、企業が主催する販促イベントで30万円の講演料を稼いでいるという。

R25にも紹介されている。
<1500万円を稼ぐ紙芝居師にプレゼンテクを聞いた!>
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090409-00000005-rnijugo-ent

「誠」の掲載時点からさらに500万円年収が上がっているのみはオドロキだが、その高い講演料のヒミツが書いてある。<デパートや不動産の展示場など、子ども向けイベントスペースでの公演も増加。企業が1回30万円の公演料を払ってでも依頼するのは、子どもがその場を離れず、親が買い物に集中する環境を作れるから>とある。

年収1000~1500万という紙芝居師業界の好況は、どうやらマクロ環境と関連が深そうだ。PEST分析でメディアに掲載されているファクトを整理してみよう。時間軸は2004年から現在の少し手前で考える。

Political=完全学校週5日制は1999年導入だが、その影響が遅れてやってきたと考えられる。子供の時間に余裕ができたことは確かに大きい。
Economical=2004年当時、いざなぎ越えとも言われた好景気に日本は沸いていた。不動産業も好調だった。販促費も潤沢である。
Social=活躍の舞台ともなるショッピングセンターは建設ラッシュ。増える競合に対する集客合戦もはじまっていた。目玉イベントが欲しいところだ。
Technological=ニンテンドーDSやプレイステーションポータブルの発売年であるが、反面、ゲームなどではなく親子で楽しめる娯楽も求められていた。子供が家でゲームばかりしないよう、親は外に連れ出そうとする。親子で楽しめる、どこか懐かしい紙芝居のイベントなどうってつけだ。
以上のように、PESTの各要素が全て追い風になっていたことがわかる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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