検索社会で漂流する個人

2007.07.20

営業・マーケティング

検索社会で漂流する個人

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

PCの前に座れば、クリックひとつで、 さまざまな分野の膨大な情報が手に入るインターネット時代。 個人はネットを通じて情報を入手・活用することで、 企業と対等か、時に上回るパワーを持つようになっていますね。

しかし、私たちは、この拡大しつづける情報の海の中で、
本当にうまく泳げているのでしょうか。

ひょっとして、

「ただ流されているだけかも・・・」

という感覚がありませんか。

編集工学研究所所長、松岡正剛氏は、

“世界的な事情として「検索社会」というものが、
 非常に強く個人に食い込んでいるのではないかと思います。
 世界中を、グーグルやアマゾン検索というシステムが
 覆っているわけです。”

と言い、検索社会では、

“一人ひとりが情報と深く関わらなくなっている”

ということを指摘しています。
(人間会議、夏号 2007)

松岡氏は、ネットを通じて情報を入手する手続きを

「親指一発ケータイ主義」

と呼んでいますが、情報の入手は実に簡単になったけれど、
検索社会には「落とし穴」があることを見抜いています。

“親指ひとつで、どんどん情報を出しているようでいて、
 実はそのたびに、前の情報を消し去っているんです。

 だから、自分は実にたくさんの情報に対応していると
 いう錯覚はつくり出せるのだけれど、対応しているのは、
 一回ずつ、他とまったく無縁のものであって、情報の
 「かけら」しか見ていないのです。”

このため、前述したように

「一人ひとりが情報と深く関わらなくなっている」

という結果をもたらしているというわけです。

問題は、個人や基地や港や船などの「エンジン力」をつけないと
膨大な情報のなかは泳いでいけないはずのネット時代において、
そうした力をそぎ落とすことになっている点です。

これは、情報の良し悪しを判断する拠り所や基本的な価値観、
「自分は何者か」といったアイデンティティを
はっきりさせないまま、入手しやすい限られた情報を
盲目的に受け入れてしまっているという意味だと
私は解釈しています。

“情報が膨大だといっても実際は、ページランクの上位100
 とかしかみていないわけですから、アクセス数やランキングに
 よって、個人は泳がされているに過ぎない。”

という松岡氏の指摘には激しく同意します。

そして、アメリカを中心とする一極的な政治経済体制に
呑み込まれている現代日本と、上記の「検索社会」が
組み合わさることによって、

“スタート時点から、個人は孤立したまま、
 「深さ」を持ちえずに漂流せざるを得ない”

という状況が生まれていると松岡氏は考えています。

さて、この「個人が漂流する」ということについては
2つの側面があると松岡氏は言っています。

ひとつは、個人が孤立していて、
コミュニティの中心が欠如しているということ。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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