グルインよりデプイン(1)

2007.07.19

仕事術

グルインよりデプイン(1)

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

グルインとはグループインタビューのこと。マーケティングリサーチで一般的に使われる手法です。が、筆者はグルインでは正確な調査は難しいと考え、一対一のデプスインタビューにこだわっています。

なぜグルインが良くないのか。

グルインにしてもデプイン(デプスインタビュー)にしても、どちらもそもそもがアメリカで開発された手法です。さらにいうならマーケティング理論からその展開手法までが基本的にすべてアメリカ起源といってもいいでしょう。もちろん、こと広告の世界だけに絞り込めば日本にも平賀源内のような智慧者がいたことは間違いありませんが、それはあくまでも例外。とりあえずマーケティングリサーチに関しては、その考え方もやり方もアメリカから持ち込まれました。

そこで問題が起こるのです。

すなわち、アメリカ起源のマーケティング手法を日本に持ち込むときにアメリカ人(と一般化するのは少し問題がありますが)と日本人の人種的、文化的な差があまり考慮されなかった。その典型的な例が、たとえばアンケート調査の時の回答設定に見て取れます。

アンケート調査はたいていの場合、5段階評価での答を求められます。すなわち「大変良い」「やや良い」「普通」「やや悪い」「悪い」といった案配です。すると日本人は回答としてもっとも無難な「普通」を選ぶ可能性が高い。今は変わってきているのでしょうが、白黒はっきり付けることを積極的には望まない日本人の気質が、アンケート結果にバイアスをもたらす危険性があります。だからアンケート調査をするなら、私は答を「普通」を除いた4つに設定すべきだと考えています。理想をいえばケースに応じて4段階のワーディングも変える方が良いでしょう。

次にインタビュー問題です。

グループインタビューも、一対一でのデプスインタビューもアメリカで考えだされた手法です。確かにアメリカではグループインタビューから一定の効用を得られたのだと思います。その背景となるのがグループダイナミクスという考え方。これはグループに参加する人間が活発に意見を述べあうことでお互いが活性化され、発言を重ねるうちに全体として一つの結論にまとまることが多いというもの。彼の地では経験的にその効果が実証されてもいます。

ところが、グルインを日本に持ち込もうとするには相当な無理があると考えた方がいい。なぜなら国民性の違い、文化の違いなどに加えて、教育の違いが決定的な影響を及ぼすからです。

たとえば
ジョージ・ワシントンは米国の最も偉大な大統領であった。
ジョージ・ワシントンは米国の初代大統領であった。
上記はアメリカの小学校5年生用の国語の教科書にある例文です。向こうではこうした文章を読ませて、小学生の頃から事実と意見の違いを考えさせる(木下是雄「レポートの組立て方」ちくま学芸文庫、1999年、26ページ)。

次のページでは、なぜデプスインタビューが良いのか。続きは次回に。

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