誰が新聞を滅ぼすのか

2007.07.18

営業・マーケティング

誰が新聞を滅ぼすのか

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

ネットに読者や広告を奪われ、 最も大きな打撃を受けているのが新聞・雑誌業界でしょう。 かといって、自らネットに力を入れれば、 自社の紙媒体からの収益の落ち込みを加速させる可能性もあり、 なかなか思い切った意思決定ができない。

いわゆる

「イノベーションのジレンマ」

に直面してますよね。

さて、日経ビジネス最新号(2007年7月16日号)の第2特集は、

「誰が新聞を滅ぼすのか」

というタイトルで米国新聞業界の動向を伝えていました。

この特集のなかで、面白いと思ったのは、
有料モデルを採用する米経済新聞、

「WSJ(Wall Street Journal)」

と、無料モデルを採用する米経済雑誌、

「フォーブス」

の対比でした。

WSJは当初から電子版は有料を貫いていてきました。

現在の電子版の購読料は、年額79ドル。
紙の購読者は、これが同20ドルになります。

契約者数は、前年比20%の93万人と、
紙の購読者の約半数に達しているそうです。

この結果、WSJの電子版の収入構成は、
広告と購読料が50%ずつとなっており、
ほぼ広告収入だけに頼る他紙と比較すると、
収益基盤は手堅いものがあります。

WSJサイトの月間訪問者数は370万人。
新聞社サイトトップの人気を誇る

「ニューヨークタイムズ」

の同1000万人超の約3分の1しかありません。

WSJは、当初「オンライン戦略に出遅れた」と
言われていたそうです。

しかし、このところ電子版、紙版ともバランスよく
読者数を増やしてきていることから、
そのビジネスモデルが見直されているとのこと。

WSJは、今年1月に紙面改革を行いました。

最新のニュース報道は電子版に任せ、
紙の方では、ニュースの分析や解説が8割を
占めるようになっています。

つまり、電子版と紙版の役割分担を
はっきりさせたわけです。これが両方の読者数を
増加させることに寄与したと考えられています。

一方のフォーブス。

フォーブス電子版の特徴は、
雑誌の支援媒体ではなく、
独立した媒体として位置づけてきた点です。

フォーブスは、記事全文を無料公開していますが、
公開のタイミングは木曜日の午後6時です。

雑誌が届くのは、金曜か土曜なので、
電子版の方が早く読めることになります。

でも、雑誌の部数減には、
今のところつながっていません。

スティーブ・フォーブス社長兼CEOは、

“紙とオンラインは共食いしない。
 広告主はあらゆるプラットフォームの広告を
 要求するようになった。これからは、
 紙に固執するほど、紙が痛手を受ける時代になる”

と述べています。

彼は、

「イノベーションのジレンマ」

を乗り越える決意を固めているようですね。

なお、北米を中心に雑誌の発行部数を
伸ばしている英エコノミストのWebサイトの発行人、
ベン・エドワーズ氏は、
同特集の中で、次のような重要なコメントを残しています。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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