「品質改悪ではないか?」との声までがネットでわき起こっているという、日清・カップヌードル。具材を強化し、肉を「ジューシーな角切りチャーシュー」に変更するという同社からの発表を受け、根強いファンたちの間では異を唱える声も大きい。なぜ、そのようなことが起こっているのだろうか。
では、そうした4Pの展開を誰を狙って、どのように魅力をアピールしていこうとしているのか、ターゲットを考えてみよう。ネット上の書き込みを見てみると、仕様変更にネガティブな反応を示しているのはどちらかというと、「いつも食べている」といった、ヘビーユーザーらしき内容の記述が目立つ。ヘビーユーザーが保守的になる例は、この製品に限ったことではないが、傾向は強そうだ。
「味の向上」という企業側の主張は、「さらに美味しいカップヌードル」という、ポジショニングに「味のおいしさ」という要素を加えたことになる。しかし、「味の良さで食べているわけではない」とする、まさに、「カップヌードルのイメージ」という「知覚品質を買っている」という状態が伺える。
だとすると、製品改定がもたらす新たなポジショニングは、ヘビーユーザーの知覚品質に合わず離反を招くことが懸念される。
仕様改定されたカップヌードルの発売は4月20日。まだ1月近く前からこれだけの話題を集めるとは、同製品の人気の高さがうかがい知れるし、事前広告効果もバッチリだ。しかし、その後の消費者の反応は未知数である。一口食べて「確かにうまい!」と腹落ちさせることができるのか、知覚品質を納得させることができずに、ニュー・コークのような顛末を辿るのか。
もちろん、知覚品質は人それぞれ異なる。現状では期待するも、心配するも、その人の持つカップヌードルのイメージと価値による判断だ。まずは、改訂後の商品を食べてみようではないか。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。