「おなかに赤ちゃんがいます」バッジのジレンマ

2009.03.25

営業・マーケティング

「おなかに赤ちゃんがいます」バッジのジレンマ

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

首都圏の主な鉄道において、 2006年から無償配布が開始されている 「マタニティーマーク」 はご存知ですか?

ハートに包まれた母親と赤ちゃんの図と共に、

「おなかに赤ちゃんがいます」

の文字が書かれています。

このマタニティーマークは、

「バッジ」や「シール」

として配布されていますが、
文字通り、妊婦さんに身に着けてもらい、
周囲の人に知らせることを目的としたものです。

マタニティーマークが生まれた背景には、
妊婦さんだと明確にわかれば、席を譲りやすくなる
という発想があります。

実際、赤ちゃんが中にいるからおなかが大きいのか、
それとも単にセクシーな肉体をお持ちなだけのか、
外見からはなかなか見分けがつかないんですよね。

だから、

「あ、妊婦さんかな・・・」

と思って席を譲ったのに、

「私、妊婦じゃありません」

などと言われたらどうしようとか考えてしまい、
なかなか譲れないんですよね。

マタニティマークのおかげで、
この迷いを解消することができるようになりました。

ところが、
実際マタニティマークを付けていても
なかなか席を譲ってくれないのが現状らしいです。

なぜなんでしょうか?

主な原因としては3つほど考えられますね。

1 そもそも妊婦さんに席を譲る気がない
2 マタニティマークがどんな意味なのかわからない
3 そもそもマタニティマークのバッジに気づかない

まず、

1 妊婦さんに席を譲る気がない

というのは本人の良識の問題であり、
いかんともしがたい点ですね。

こんな人は少数派であると願いたいところです。

次に

2 マタニティマークの意味がわからない

というのは周知徹底の問題ですね。

この点については、
配布が開始された当初は、
確かに告知が不十分だったと思います。

でも、最近は大きなポスターが各駅構内に
貼ってありますから解消されつつある問題でしょう。

もっと、車両内の告知スペースを大きくすべきだと
思いますが。(現状は優先席周辺に小さく表示)

最後の

3 そもそもマタニティマークのバッジに気づかない

というのが最大の問題でしょう。

バッグなどにさりげなく付けている妊婦さんが
多いのですが、小さすぎて本当に目立ちません。

見つけるつもりで探さないと目に入らないくらいです。

マークに気づかないから妊婦さんだとわからない。
だから席を譲る人も増えない、というのが現状なんだ
と思います。

とはいえ、直径10センチくらいの

「デカバッジ」

にすればいいじゃん、
と安易に考えるのはNGです。

今度は、逆に目立ちすぎて恥ずかしいでしょう。

いくら妊婦さんとは言え、
女性としては外見をおろそかにしたくないはず。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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