爽健美茶VS.潤る茶:コンビニの棚からみた茶系飲料の戦い

2009.02.15

営業・マーケティング

爽健美茶VS.潤る茶:コンビニの棚からみた茶系飲料の戦い

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンビニの棚は各社の戦いの最前線である。茶系飲料の市場縮小が続く中、今日も生き残りをかけたギリギリの戦いが続いているのだ。

独占的シェアを持つ爽健美茶と、スターに育ったからだ巡茶の、「日本コカ・コーラ無敵タッグ」に挑む「潤る茶」であるが、勝算はあるのだろうか。
チャネル営業に力を入れたと見え、棚を3フェイス確保している。仲間由紀恵のCMも大量投入していることから、認知度は向上しているだろう。しかし、絶対王者の爽健美茶はどんな挑戦者も許さないということなのか。潤る茶がコンビニ標準価格の147円なのに対し、125円のキャンペーン価格が設定されていた。競合商品のリニューアルの出鼻をくじくメーカの戦略だと考えられる。

この価格戦略は絶妙だ。いくらCMを大量に投入し、認知度を向上させても、最後に手に取らせて買わせなければ意味がない。
「仲間由紀恵」×「潤いの表現」で、AIDMAのAttention(認知)・Interest(関心)ぐらいまでは行くだろう。「ミネラル・ビタミン・コラーゲン」が摂れるといわれれば、飲んでみようかなと思って記憶に残るかもしれない。Desire(欲求)・Memory(記憶)だ。しかし、飲料などの場合、最後の最後に店頭で「やっぱりこっちにしよう!」とAction(購買行動)がすり替わってしまうことも少なくない。
その直前の心変わりを起こさせるには、一番簡単なのは値引きなのだ。しかし、リニューアルしたての潤る茶は値引きでスタートしたくない。痛いところを爽健美茶は突いてきたわけだ。
他の手立てがないわけではない。例えばプレミアム賞品をボトルネックに付けたり、その場で賞品や賞金の当選が分かるインスタントウィン型のシールを本体に貼るなどの方法だ。リニューアル記念とすれば期間限定だし、意味も明確になる。

ブレンド茶ではないが、緑茶系飲料でそれをうまくやっている商品を見つけた。アサヒ飲料の新製品「アサヒ香る緑茶 いぶき」だ。緑茶飲料は、伊藤園「おーいお茶」、サントリー「伊右衛門」、キリンビバレッジ「生茶」の3強がシェア7割を占める。その中に食い込もうというのだ。並大抵のことでは生き残れない。何とか発売直後の初速を付けたい。そこで、前述のインスタントウィン型のシールを貼付け、新発売キャンペーンを展開したのだ。

個人的には「うるる」という名前で、パッケージの「しずくの形」を見ると、ダイキンエアコンの「うるるとさらら」と、そのキャラクターの「ぴちょんくん」を連想してしまう。なので、ダイキンとコラボレーションで「潤る茶ぴちょんくん」のプレミアムを作って、ボトルネックに付ければよかったのではと思ってしまう。13種類の素材にちなんだ13種類のぴちょんくん。筆者なら集めてしまいそうだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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