爽健美茶VS.潤る茶:コンビニの棚からみた茶系飲料の戦い

2009.02.15

営業・マーケティング

爽健美茶VS.潤る茶:コンビニの棚からみた茶系飲料の戦い

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンビニの棚は各社の戦いの最前線である。茶系飲料の市場縮小が続く中、今日も生き残りをかけたギリギリの戦いが続いているのだ。

コンビニの飲料ケースの棚を見ると、キリンビバレッジの「潤る茶(うるるちゃ)」のパッケージ変更に気付く。CMで仲間由紀恵が「うるおう理由は、素材にあったんだ」と言うその素材がパッケージにズラリと13種類。「潤う」をイメージさせるしずくの形で表現されている。

茶系飲料の中でこのような、多数の素材を用いた「ブレンド茶飲料」の戦いは現状、日本コカ・コーラの一人勝ちに近い。しかし、ブレンド茶系飲料の元祖は十六茶だ。1985年に他社から発売され、93年からアサヒ飲料が発売元となり、缶・ペット容器入り飲料として発売。大ヒットとなった。
その93年に対抗馬として上市されたのが日本コカ・コーラの「爽健美茶」である。
飲料業界第一位の同社は、業界リーダーの戦略の王道である「同質化」が得意だ。下位のポジションにある企業のヒット商品の特性に、優れた開発力ですぐに追随。上市後、先行商品の存在をかき消すように、強大な販売力で市場を席巻する。スポーツ飲料カテゴリーにおける、大塚製薬の「ポカリスェット」に同質化戦略をしかけた「アクエリアス」も同社の製品である。

93年に「茶流彩彩」ブランドでスタートした爽健美茶は99年に単独ブランドとして独立。大ヒットとなり、ブレンド茶飲料におけるシェアの7割超をおさえている。
ランチェスター戦略の研究者、B.O.クープマンの研究によれば、その業界やカテゴリーにおいてシェアの73.9%を握ると「独占的シェア」といわれるポジションになり、短期的には首位のポジションを奪われることがあり得ない、絶対的な安定シェアであることを意味しているという。実に、その数字に極めて近い。
シェアを奪われ、2位に転落した十六茶の姿は、筆者が訪れたコンビニの店頭にはなかった。

定番化した爽健美茶は、日本コカ・コーラの製品ポートフォリオでは「金のなる木」となった。ポートフォリオマネジメントの基本は、今後の可能性が未知数の「問題児」のポジションに商品を上市し、金のなる木で稼いだ収益で「スター」に育成することだ。
その原則通り、同社は「からだ巡茶」を同じブレンド茶カテゴリーに投入した。商品名は「体の中からキレイを目指す」を意味するといい、女性を明確にしたターゲット設定は明確。薬日本堂と協力して製品作りにも力を入れ、CMを大量投入するプロモーションにも注力した。「スター」のポジションに育成する意図が最初から明らかだったのだ。果たして、現状のシェアは不明ながら、コンビニの棚を2フェイスしっかりおさえていることから、しっかり売れ、「スター」に育ったと推測できる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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