「異色のコラボ」の狙いとは?

2009.02.10

営業・マーケティング

「異色のコラボ」の狙いとは?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

「これを考えたヤツは間違いなく天才だ・・・」。その画像を見た時確信した。さりげないようだが、よく考えればムリムリなこんなカタチ、普通では思いつかない。

記事には<女性から長らく格好悪いものの代表と見られてきた鉄道グッズだが、京急電鉄は「女子高生や若いお母さんたちを取り込みたい」とイメージ一新を狙っている>とある。しかし、上記の如く、多くのファンを持つ2100形をコラボに用いるのは、「女子高生や若いお母さんたち」だけを狙ったものではないだろう。しっかりマニアも狙っているように思う。
狙い通り、女性達はかわいいロディが奇妙な感じに電車に乗った携帯ストラップやファスナーストラップを「ダサカワ」と感じて身につけたとしよう。すると、今まで本当のマニアしか身につけていなかった「電車グッズ」は一気に市民権を得ることになる。「本当は電車の携帯ストラップ付けたいんだけど、人から”鉄ちゃん(鉄道マニア)”って呼ばれるから・・・」と購入を留まっていた潜在層を一気に刈り取れる。
最初は女性にも人気の「ロディ×2100形コラボ」を買うだろう。女性に「ダサカワ」と評価される。購入への抵抗感が一気に弱まる。その次には、電車単体のグッズを購入。継続的な需要が見込めるのではないだろうか。

ターゲットを選定する時に忘れてはいけないポイントに「優先順位」と「波及効果」がある。当該ターゲットを取り込めば、後からより多くの別の属性を持ったターゲットが取り込めるとしたら、おのずと優先順位が高いターゲットがわかる。有名人やタレントをユーザーとして紹介し、一般人を取り込む、「シャワー効果」と呼ばれる手法もその一種だ。B to BのIT関連のマーケティングなら、有名企業の導入を先行事例として採算は二の次で、「リファレンス・ユーザー」として取り込むのが常套手段である。

ちょっとムリヤリな感じも漂うこのおかしなコラボ、意外としたたかな戦略が込められているのかもしれない。
早速、筆者は釣られて、発売日の14日に品川駅あたりで買い求めてみようと思う。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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