GEなど成功した世界企業が実践するアクションラーニングの真髄

2009.02.05

経営・マネジメント

GEなど成功した世界企業が実践するアクションラーニングの真髄

山本 亮二郎

成功する経営に必須のコツ、メカニズムとは一体何だろうか。人や組織の自発性や自律性、そして創造性をどこまで引き出せるか、ということ以外にないであろう。それこそが、アクションラーニングという概念であり、実践である。

 数十万人の社員を抱える巨大企業から、ワンマン社長が率いる10名のベンチャー企業にいたるまで、企業社会におけるコミュニケーションの多くは「上」から「下」へと流れていく。そもそも「上」と「下」がない組織というものは存在しないことからすると、これは当然のことであろう。一般に、「上」の表象するものが、経験であり実績であり権威であり権力でもあるなら、組織上の上下関係を基礎とした指揮命令というコミュニケーションがもっとも合理的である。組織である以上「規律」が必要であり、その規律を浸透させ一定程度強化させる上でも、企業内コミュニケーションは上意下達的に営まれるべきである、ということもできよう。

 しかしながら、そのようなコミュニケーションのありようは、一方で個の創造性や組織の自発性を後退させてしまう危険性があることも容易に想像できる。また、昨今のように経済システムの構造そのものが世界的規模で問い直されるような時代ともなると、企業内における、従来の意思決定メカニズムだけでは通用しないということも起こり得るだろう。これまでの「上」「下」による関係が、そうした大きな変化に否応なく突きつけられている「組織の革新」を阻害してしまうことは避けなければならない。

 今、名だたる大企業が競うように導入を決定している「アクションラーニング」という組織活性化の手法がこれだけもてはやされる背景には、上記のような世界経済の構造転換という外的要因も確実にある。アクションラーニング自体の詳細な定義については、ここでは省略したいが、一言でいえば、組織の上下関係をとっぱらって、自由に、素朴に、自発的に問いを立てながら、本質的かつ創造的な仕事を進めていくための、コミュニケーション革命を促すOSである。「組織の上下関係」ではなく、「人間の対等な関係」を再構築することによって、より高いレベルのアクションを導くための研修プログラムと言っても良い。
※アクションラーニングの定義と具体的な手法については、清宮普美代著『質問会議』(PHP研究所、2008年9月)を参照のこと。

 しかしながら、このアクションラーニングという手法を実際に体験し、その内容をより深く知れば知るほど、この手法が社会においても企業においても未曾有の構造転換を迫られている今という時代を背景に注目されているというだけの、「流行の」研修プログラムでないことが実感できる。そして、古今東西、規模の大小を問わず、成功した全ての企業は、その概念や手法を知っているか否かにかかわらず、必ずアクションラーニングを導入し実践してきたのではないか、という仮説をもつまでにいたるのである(事実、アクションラーニングの歴史は古く、1930年代から研究が始まっている)。それほどに、この手法は「組織(=上下)」に対して、本質的かつ革新的である。

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