アサヒ スーパードライ:キャンペーンの狙いは?

2009.01.24

営業・マーケティング

アサヒ スーパードライ:キャンペーンの狙いは?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

プロモーションはどんな顧客層をターゲットとして、どのような目的で行われるのかが明確になっていなければ実施する意味はないといっても過言ではない。そんな中、非常に効果的と思われるキャンペーンを目にした。

アサヒ スーパードライの”「うまい!をカタチに!」プロジェクト”が1月19日からスタートした。なんともビールがうまく飲めそうなタンブラーや、ビールをキンキンに冷やしながら次々飲めてしまいそうな卓上クーラーボックスなど、ビール呑みにはたまらない景品が用意されている。
このキャンペーンの特徴は、商品に貼付けられたシールを集めて送ると抽選で景品が当るという、「マスト・バイ型(クローズド懸賞)」と同時に、シールに加え、代金を支払えば必ず手に入るというコースが設定されている点だ。

プレミアムキャンペーンには、誰でも応募できる「オープン懸賞」、購入者のみが応募できる「クローズド懸賞」、応募せずとも商品に賞品が付いてくる「ベタ付け」などが代表的である。
今回”「うまい!をカタチに!」プロジェクト”で一部採用されているのは「セルリキ(セルフリキデーション=自己清算型)」と呼ばれる手法だ。商品をに張り付いている応募シールやパッケージの一部を切り取るなどして「購入証明」となるものを集め、代金を一部応募者が負担することで、景品を確実に手に入れられるようにするしくみである。タバコのキャンペーンではしばしば用いられる手法ではあるが、あまり一般的とはいえない。

なぜ、「セルリキ」方式がなかなか用いられないかといえば、裏方の作業の手間と、それに伴うコストがずいぶんかかるのも理由の一つだ。
応募者からハガキで送られてくる購入証明を一つ一つ確認したり、代金を振り込みで受け付ける場合は応募情報と入金情報突合したりと、なかなか大変な作業の手間とコストがかかる。筆者は前職の広告会社で経験しているのでその大変さがよくわかるのだ。
今回は景品が送られてきた時に現金かカードで支払いとのことなので、宅配便の着払いのしくみを使ったようだが、いずれにしても応募確認の手間は残る。

しかし、あえてこの「セルリキ」を実施するのは、ヘビーユーザーの囲い込みには大きな効果を発揮するからだ。
シール12枚~24枚を集めるために、缶ビールを1~2ダース分飲む。そして、代金を払う。昨今の景気の低迷で嗜好品は節約対象に挙げられがちだ。「少し本数を減らそうかな」と思っていたところにこのキャンペーンを目にしたユーザーも多いだろう。景品ほしさに飲み続けることになる。
もしくは節約のために「発泡酒に変えようかな」と思っていたらどうだろう。思わずキャンペーンに応募して、スーパードライのロゴ入りのグッズを手に入れてしまっては、そこに発泡酒を注いだり、冷やしたりするのでは格好が付かない。まして、自分が代金を一部負担しているのだ。余計に手に入れたグッズにもブランドにも愛着がわく。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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