『フロー』心理学者の説く“仕事の楽しみ”

2007.06.28

仕事術

『フロー』心理学者の説く“仕事の楽しみ”

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

内発的動機は本人の内に無限のエネルギーを湧かせ、外発的動機は結局のところ本人や組織を消耗させてしまう。仕事で「フロー」を得るためには・・・

チェス・プレイヤー:
「最も報いの多いのは対局であり、知的な卓越性を誰かと戦わせることからくる満足です。私はトロフィーやお金をもらいました。でも、チェス協会への登録料などを考えると、たいていは持ち出しになっているのです」。

こうしたことから、自己目的的活動の特徴をチクセントミハイは、

・その活動は絶えず挑戦を提供する。
これらから起こることや起こらないことに対して、退屈や心配を感ずる時間がない。
このような状況の下では、人は必要とする技能を、それがどのようなものであれ、
フルに働かせることができ、自分の行為から明瞭なフィードバックを受け取る。
従って彼は筋の取った因果の体系の中にあり、
そこで彼が行なうことは現実的で予想可能な結果を伴うことになる。
その結果、自分は不可知の力によってもてあそばれているのではなく、
自分自身の運命を支配しているという感じを経験する。
そのとき、もはや物的・金銭的な報酬を主とする外発的動機は極めて低い割合の存在になる。

***********

もちろん、「フロー」に似た概念はほかにもあります。

古くは、荘子が「遊」という概念を使っていました。
また、欲求5段階説・自己実現でおなじみのエイブラハム・マスローは
これを「至高体験」(peak experience)と名づけています。
加えて、トム・ピーターズは、「砂場魂」と呼びました。

以下は、トム・ピーターズの書き表しです。

「遊びとは真剣なものだ。砂場で真剣に遊んでいる四歳の子供を観察してみればわかる。
私はその真剣さを『砂場魂』と呼びたい。
・・・・遊びはすごいパワーを秘めている。
自分を信じ、肩の力を抜き、誰の中にも眠っている豊かな創造力を解き放てば、
自分のおそるべき才能を発見するだろう。
遊びはいい加減にやるものではない。真剣にやるものだ。
ウソだと思うなら海辺で砂のお城を作っている子供を見てみるといい。
まさに一心不乱、無我夢中・・・。
作り、壊し、また作り、また壊し・・・。
何度でも作り直し、何度でも修正する。ほかの物は目に入らない。
ぼんやりよそ見をしていれば、お城は波にさらわれてしまう。失敗は気にしない。
計画はいくら壊してもいい。壊していけないのは夢だけだ。
夢づくりは楽しい。思いっきり楽しもう。
やってみよう。作ってみよう。気に入らなければ叩き壊そう。そしてもう一度作ろう。
そうして人間は成長していく。遊びながら・・・」。
『セクシープロジェクトで差をつけろ!』(仁平和夫訳)より

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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