伊藤園「ウオーター グリーンアップル」の挑戦

2008.12.24

営業・マーケティング

伊藤園「ウオーター グリーンアップル」の挑戦

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

ファミリーマートの飲料のショーケースで見知らぬ商品を発見。早速購入し、一口飲んでみると衝撃の味が。さらにラベルの栄養成分表示にはなんとも不思議な事実が記載されていた。なぜ、そんなことに・・・?

商品は「ファミリーマート限定」とされて販売されていた「伊藤園・ウオーター グリーンアップル」。ミネラルウォーターに、ほのかなフレーバーを加えた「フレーバーウォーター」というたぐいの製品であることが推測できる。
同様な名前を冠した製品には「ボルヴィックフルーツキス グリーンアップル」が思い出される。ふわりとした軽やかな香りが開栓と同時に広がり、ジュースのような甘さとは全く異なる、ほのかではあるけれども、ボルヴィックの硬度60という軟水の特性をより飲みやすくする甘さとすっきり感が口中から鼻腔に抜ける。いつも水ばかり飲んでいて飽きたときに、ちょっとした気分転換ができる秀逸な製品だと思う。

さて、伊藤園の「ウオーター グリーンアップル」はというと、開栓と同時に「これは青リンゴです!」との主張をもった香りが漂ってくる。口に含むとさらに「青リンゴ」は強力な主張を増す。但し、その「青リンゴ」は例えるならば、「青リンゴガム」の味と香りだ。しかし、これはジュースではない。あくまで「フレーバーウォーター」。青リンゴの味と香りはするものの、青リンゴの存在を明確に感じるほどの強さはない。さらに例えるならば、青リンゴガムを噛んで、その噛んでいる途中で水を飲んでしまったときの舌に感じる味と鼻に抜ける香りとでも言えばいいのか。失礼ながら、中途半端な感が否めない。

しかし、驚きはその味と香りだけではない。改めてラベルを見る。「果汁10%未満」「砂糖・甘味料不使用」と明記されている。中途半端と思ってしまったが、青リンゴの味と香りは天然成分であったのだ!

「ボルヴィックフルーツキス グリーンアップル」の原材料を見てみる。
<ミネラルウォーター・転化糖・砂糖・酸味料・香料・保存料(安息香酸Na)>
大まかにいえば「水と砂糖と香料と保存料」だ。爽やかな味と香りを演出しているのは、問題のある成分ではないものの、自然志向の消費者にはあまりうれしくない名前が並んでいる。

では「伊藤園 ウオーター グリーンアップル」の原材料はというと、ラベルに栄養成分表示として記されている事項から推測する。<エネルギー・たんぱく質(0g)・脂質(0g)・ナトリウム(0mg)・ショ糖>とある。
わざわざ<※ショ糖は全て果実に由来するものです>とまで表記してあるので、あくまで天然成分にこだわったのであろうことが推測できる。ラベルの注意事項には<時間の経過により、液色が変化したり、果実の成分が沈殿することがありますが、品質には全く問題がありません>との但し書きがある。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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