プロになる目安は1万時間

2008.11.21

ライフ・ソーシャル

プロになる目安は1万時間

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

ビートルズがブレイクした秘密は無名時代の「1万時間」にあったという。名付けて『魔法の1万時間』。何かに秀でるために最低限必要な時間をどうやってひねり出せばよいだろうか。

千日をもって鍛とし、万日をもっと錬とす

『五輪の書』に記された宮本武蔵の言葉である。剣の道を究めるためには万日、つまり約30年の歳月をかけて打ち込むことが必要というわけだ。これにならい吉川英治の書いた『宮本武蔵』を座右の書とした極真空手創始者の故・大山倍達は、千日をもって極とし、万日をもって真とするという言葉を作った。

空手の道も同じく、毎日ひたすら稽古を重ねて30年つづけることができれば、その真を極めることができるのだろう。何かを修業して達人といわれるレベルに達しようと思えば、それなりに人生をその道にかけなければならないという経験知が、この言葉には示されている。

ビートルズは1万時間

一方で最近、興味深い説をネット上で見つけた。mehoriさんのブログ『あなたも「天才」になれる? 10000 時間積み上げの法則』では、1万時間が一つのマイルストーンになるというのだ。たとえばビートルズである。ジョン、ポール、ジョージと最初のドラマー・スチュアート・サトクリフがリバプールでグループを結成し、弱小バンドとして過ごした時間が1万時間なのだという。

ジョンとポールが出会ったのが、確かポール15歳のときのはず。シングルデビューしたのが、その5年後である。だから5年間で1万時間演奏した計算になる。ということは一年間で2000時間、毎日やったとしてだいたい5時間強。ロックンロールが好きで好きでたまらず、プレイしているのがひたすら楽しければこれぐらいは楽勝だろう。

もっとも1万時間やれば、誰もがビートルズになれるわけじゃない。1万時間はブレイクするために必要な下積み時間の目安であり、そこから突き抜けることができるかどうかは「偶然のタイミング」によるらしい。1万時間かけて一生懸命やってきたことが、自分の才能にあったことなのかどうかが第一。さらには時代の波といった神のみぞ知る要因が左右する部分も大きいということだ。

ビジネスパーソンの1万時間

ブレイクできるかどうかは別として、何かをマスターするためのベーシックな練習時間として1万時間は一つの目安になる。たとえばごく普通のビジネスパーソンならどうだろうか。

新入社員がどれぐらいの期間で一人前になるかを考えてみよう。仮に1日8時間働くとして、1万時間なら1250日である。つまりざっと5年も経てば、最初は頼りなかった新人君もそれなりに仕事ができるようになっているんじゃないだろうか(もっとも個人差は大きくあると思うけれど)。

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