『高校野球「裏」ビジネス』

2008.10.08

ライフ・ソーシャル

『高校野球「裏」ビジネス』

川渕 健二

軍司貞則『高校野球「裏」ビジネス』(ちくま新書)を読む。

「居酒屋にいた他校の高校生」、よく警察に電話できたな。「ああ、ぼく、○○高校の××と言います、今、居酒屋にいるんですけど」って電話したのかな。

それはそれで、なかなか度胸のある行為ではある。

が、少なくとも、「駒大苫小牧の生徒が悪いことをしている、だから正さねばならぬ」という正義感から出た行為ではない、ということだけは言えるのではないか。自分も同じことしてるんだからね。自分が同じ悪いことをしつつ、他者の悪を正す、という正義感は、ちょっと理解できない。

ひょっとして、駒大苫小牧野球部の生徒、居酒屋でモテモテだったんだろうか。それに対する「なんでえチクショー」という気持ちから出た行為、というのであれば、うんうんわかる、よーくわかるよ。

《同じく居酒屋で酒を飲んで密告した他校の高校生は不問に付された。駒大苫小牧高の一般の3年生も大勢いたはずだが、野球部だけが責められた。》(p176)

他校の生徒、一般の生徒は、不問に付されたとき、どう感じただろうか。

心理的に、非常に興味深いところである。

《野球の世界で“ボール”は、政治の世界での“絵画”と同じ性格を持っている。/“絵画”をもらった政治家は、指定された場所(たとえば画廊)へ、それを持って行き、何千万円という金額で買い取ってもらう。それによって直接の金銭のやりとりを消せる。“ボール”もそれと同じで、1ダース単位のボールで値段がつく。10ダースあれば、それに匹敵するお金に化ける。50ダースあればその値段に化ける。/野球の世界では“ボール”は“お金”なのだ。》(p222)

これは、全然知りませんでした。けど、なるほどねー、って感じです。

パチンコの世界における、ライターの石みたいなもんか。ちと違うかな。

最後に、クスッとした箇所を。

《私の手元に、「『××××××高校、校長・教頭・野球部監督・部長・コーチ全員による不祥事隠蔽・揉み消し・部員に対する口止め工作』について」と題された一通の告発文がある。ある野球強豪校の父兄(複数)やOBらがまとめた野球部内暴力とボーイズリーグ特待生問題を含んだ文章である。(中略)告発文は暴力行為に加え、不祥事についても書かれている。(中略)「学校から監督への巨額な金銭の流用(野球部へ形の残っていない経費800万や若い女性が在籍する夜のクラブ活動費用、監督の携帯代)」》(p83~85)

いやいや、告発内容自体、その事実にクスッとしたわけじゃないですよ、もしそれが本当に事実であれば、とんでもないことです。

クスッとしたのは、「若い女性が在籍する夜のクラブ活動」……へーえ、そういう活動も「クラブ活動」って言うんだあ、という点です。

「社長、今夜はどこへ?」

「いつものクラブ活動さ!」

てな感じでしょうか。

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