インパクトか上品か

2007.06.07

営業・マーケティング

インパクトか上品か

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

最近、私がトライアルしている小林製薬の「ナイシトール」。 内臓脂肪、とくにおなか周りに効く薬ということですが、 まだ1週間目なので実感ないですね。 まあ、当然ですが・・・ さて、「ナイシトール」は、爆発的な売れ行きを示していますが、 その正体は別に新薬でもなんでもありません。

昔からある漢方薬、

「防風痛聖散」

です。

しかし、「小林式ネーミング」と呼ばれる、
その機能や効能が一瞬にしてわかる商品名にしたおかげで
この大ヒット。

「ナイシトール」の例を出すまでもないかと思いますが、
小林製薬のマーケティングの真髄は

「わかりやすさ」

なんですよね。

そしてこの「わかりやすさ」を具現化するのが、
大阪発らしいベタな、こてこてのネーミング。

最近の新製品の名称もこの点は一貫してますね。

・あら熱とーる(弁当のあら熱を取る冷却ジェル)
・コリホグス(肩こりなどに、飲んだその場ですばやく効く)
・ムズメン(股間・内股のかゆみ、かぶれなどに)

先日の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)には、
小林製薬代表取締役社長、小林豊氏が登場されてましたが、
こうしたストレートなネーミングは、

「インパクト」

を重視しているとおっしゃってました。

ネーミング、またパッケージデザインも同じことが
言えますが、「インパクト」の反対の極には、
「上品さ」、あるいは「洗練さ」があります。

小林製薬の場合、一般の小売店で売られる消費財ですから、
まずは、消費者に商品名を覚えてもらえること、
店頭で手に取ってもらえることが重要。

気取った名前を付けたり、きれいなパッケージにするより、
インパクト優先、ストレートなネーミングとパッケージで
勝負!ということなんですね。

なお、小林社長が注意を促していましたが、

インパクトか上品か

どちらを重視するにせよ、
どっちつかずの中途半端はよくありません。

コミュニケーションの基本方針(たとえば「わかりやすさ」)
をきちっと決めて、とことんやりぬくことが大切でしょう。

ついでながら、最近、「カロリーゼロ」のコーラが、
コカコーラ、ペプシコーラの両社から出揃いました。

・コカ・コーラ ゼロ(ZERO)
・ペプシ  ネックス(NEX)

「わかりやすさ」ではコカコーラに軍配が上がりますね。
さて、どちらが勝つでしょうか?

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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