「縮む市場」に「消費者」はいない

2008.09.16

営業・マーケティング

「縮む市場」に「消費者」はいない

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

世界的な各種原材料の高騰に圧迫され、企業の業績は低迷。金融不安が拍車をかける。労働配分率も高まらず、生活防衛のため家計の引き締めが加速。そして企業は「モノが売れない」と嘆く悪循環。 出口が見えない日本経済の失速の中、消費市場は縮んでいく。

同日の同紙第一面にさらに注目すべき記事があった。<田舎に子供服 自然体の商い 思い出作りセットに>と子供服を中心とした路面店運営・ウォッシャブル社の細井隆行社長が取り上げられている。大手アパレル販売会社のマニュアル的接客販売手法に限界を感じた同氏は、理想を実現すべく自ら店舗展開を開始する。常識にとらわれないいくつかの店舗を手がけた後に辿り着いたのが、大津市の古民家に開いた子供服店。<京都市中心部から車で約1時間、最寄りのバス停には1日数本バスが来るだけという「田舎」>の立地。さらに季節限定、週末のみ開店という条件にも関わらず、この店を目的に四駆で遠くから来る客や、近隣の別荘族などが集い活況だという。
細井氏のこだわりは、わざわざそこまで来店する「買う気のある顧客」に対する、マンツーマンの丹念な接客である。店構えも接客も<「短時間で大勢の客をさばくチェーン店では考えられないような無駄ばかり」>というコメントが本質を表わしている。

「作れば売れる。置けば売れていく」という環境はもうすでにない。「客を大量にさばく」という発想は、「大量生産・大量販売」の名残だ。その担い手である「消費者」という存在はもはやどこにもいないのである。
そのことに、玩具販売の大手、恐竜であるトイザらスも気付いた。そして、環境の変化を敏感に感じ取った、「アンチ大手」を信条とする細井氏は、「本当の客『買う気のある客』であり、そこに全てを集中すべし」と迷いなく、一見「無駄」とも思える展開に邁進しているのだ。

かつてないほどの大きな環境変化を迎えている今日、それを誰がが、どのように乗り切れるかはわからない。ただ一つ言えることは、その環境に適応する方法を少しずつでも手に入れることでした生き残れないということだ。
そして、上記の事例から学ぶなら、「消費者という存在はもはやいないのだ」という認識を持つことからはじめるべきなのかもしれない。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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