「エコかっこいい」とは、こういうことさ。

2008.09.11

ライフ・ソーシャル

「エコかっこいい」とは、こういうことさ。

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

「カッコイイ」という概念は非常に幅広く、全ての人の共通認識を形成するのは難しい。しかし、明確な切り口を示せばそれは一つのベクトルとなり、ひいてはムーブメントを形成していくことができるのだと思う。

「カッコイイ」でいえば、例えば、スタジオジブリの名作「紅の豚」は「カッコイイとは、こういうことさ」と、「かっこいい」という要素の中から「男のダンディズム」という切り口を明確に示したといえるだろう。それが今日、すっかり定着た感のある「オトナ的なかっこよさ」の底流に流れているようにも思える。BRIO的なら襟元はキリリとタイドアップしていたり、LEON的ならボタンが3つ空いていちゃったりと、スタイルの違いはあるけれど。

では、昨今の全世界的な大きなテーマである「エコ」はどうだろうか。
「エコ」というと、どうしても節約、我慢という、ともすればちょっと貧乏ったらしいネガティブなイメージを醸成しがちだが、それが「MOTTAINAI」などのキーワードや知的なイメージに転換されつつあるのは確かだろう。
しかし、「カッコイイ」が幅広く共通意識を形成するのが困難な概念であるように、「エコ」+「カッコイイ」もどんな要素を組み合わせるのかによって、ずいぶんと切り口やイメージが変わってくるように思える。その意味では現在のところ、具体的にはどうカッコイイのか?と、今ひとつ明確なイメージが伝わってこないようにも思う。

例として軸を設定してみよう。
一つは「MOTTAINAI」に通じるような、既存の活動や商品を削減ないしは低減する方向性が考えられる。つまりエコにおける3R(Reuse Reduce Recycle)などがその典型である「低減・削減」だ。
では、同じ軸上の反対の方向は、新たな技術を活用して何かを創造するということになるのだろうか。例えば、燃料電池や太陽光発電など、新たなエネルギー源の開発などもそれにあたる。「新たな技術による創造」である。
もう一本の軸を設定してみる。
一つが「伝統回帰」というような方向性はないだろうか。近年のCO2を増大させてしまった文化や暮らしを見直そうという動きだ。具体的な例では、「究極のミニマムライフである江戸時代の生活を見直そう」という論などがそれにあたるだろう。
その「伝統回帰」の反対は、いささか具体的ではないが「新たなスタイルや暮らし」といったところだろうか。

「低減・削減←→新たな技術による創造」「伝統回帰←→新たなスタイル」という二本の軸が設定できたら、4象限に注目してみたい。
「低減・削減」×「伝統回帰」は、例えばレジ袋を削減するために「風呂敷を使いましょう」という例が当てはまるだろう。伝統回帰して、あえて今、風呂敷でものを包んでは運ぶということは、なるほどカッコイイし、エコだ。それが「伝統回帰」ではなく「新たなスタイル」の方向性になるなら、「オシャレなエコバッグ」を利用するということになる。
「新たな技術による創造」×「伝統回帰」はなかなか難しいかもしれないが、例えば、先に例示した「江戸時代の暮らし」をそのまま再現することは平成の世にあってなかなかに難しいことだろうから、そのスタイルやコンセプトを元に新たな技術で実現することになるのだろう。また、美しい海岸や田園という日本の伝統的な風景の中にすっくと立った風力発電の風車が意外にも違和感がないのは、風車そのものは日本の原風景ではないものの、自然エネルギーを利用するという極めて伝統的な発想だからではないだろうか。但し、まだまだこの領域は工夫の余地があるように思えるのも確かだ。
しかし、何といっても一番ワクワクするのは最後の「新たな技術による創造」×「新たなスタイル」という象限だ。どうしても「縮む」という方向感になりがちなエコにおいて、新技術を活用することが、唯一の「伸びしろ」であるように思える。それ故にワクワクするのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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