「定番品」とは黙っていても売れ続ける商品ではない。変化し続けることで売れるようにする商品である。黙っていれば、生活防衛のため、消費者は「買わなくてもいい」と考えてしまう時代だ。
消費者の本格的な生活防衛が始まっているのだ。
<日用品、節約志向広がる 家計調査6月、4ヵ月連続減>
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080819AT2C1800W18082008.html
<物価の上昇が響き、消費者が食品や日用品などの節約志向を強めている>といい、<通常の景気低迷期とは違って、生活必需品を中心に切り詰めている>ことが昨今の特徴のようである。
一生活者の視点で考えれば無理からぬことなのだが、企業の視点で考えれば、景気変動にさらされない安定的な売上げを上げられるはずの、必需品や定番品までもが売れなくなるという危機的状況なのだ。
そうした背景の中、いわゆる「定番商品」が消費者の潜在的なニーズに対応し、リニューアルで乗り切っていこうという動きが見える。
例えば、「メタボリック・シンドローム対策」は数多くの成人人口を巻き込んだ、昨今の関心事だ。
<メタボリック対策として実施していること>という調査では、「食事の量」「脂肪分の少ない食品を意識的に摂取」と食事での対策が上位を占める結果が出た。
http://release.nikkei.co.jp/attach.cfm?attID=0197119_02.jpg
上記は雪印乳業の調査である。そして同社は定番商品である「6Pチーズ」の新製品を発売した。
<脂肪分20%カットの「雪印 6Pチーズ 脂肪分ひかえめ」を発売>
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=197119&lindID=4
平べったい丸い紙のパッケージに、アルミに包まれた6つのチーズである。よもやあのような定番に工夫の余地はあるまいと思っていたが、「メタボ対策」という直球勝負で挑んできたわけだ。筆者を含めて必要性を感じている層は、大きな選択肢となる。
一方、もっと潜在的なニーズに対応した商品も登場する。「9割の顧客のイライラを解消する」というものだ。
http://release.nikkei.co.jp/attach.cfm?attID=0197070_03.gif
ミツカンの調査では、納豆のパックのフィルムやカラシなどの小袋が開けづらかったり、開ける際に手が汚れたり、開けた後の始末に困るなどでイライラを経験する人は9割に上るという。
そこで、同社は調味料メーカーとしての技術を応用し、タレにとろみをつけ、つまんで混ぜられるようにするという、「コロンブスの卵」的な解決策を見いだした。
http://release.nikkei.co.jp/attach.cfm?attID=0197070_01.jpg
同社の納豆の定番シリーズである「金のつぶ」の2製品にまず投入するという。
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=197070&lindID=4
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。