今月の初旬、<インド政府、10ドルノートPCの開発を計画中>の報道がネット上で話題となった。一方、日本市場においても10ドルはムリでも10万円未満のノートパソコンが急伸している。ノートパソコン市場は今後どこに向かっていくのだろうか。
新たな製品コンセプトを考える時、つい、新たな属性を「足し算」することにばかり目がいくが、実は現在ある価値から「引き算」を行うことも重要なのだ。図中の5層の価値構造から何が省けるか、自身の利用のしかたから考えてみてほしい。
その意味からすると、やはりインドは強烈だ。
<インド政府、10ドルノートPCの開発を計画中>
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20348296,00.htm
実現可能性はともかく、徹底的な「引き算」の姿勢が明確だ。<これらのノートPCはシングルボードで作られる予定で、最近では使われるのことの無くなった旧式のコンポーネントで構成される可能性が高い。多くの古いコンポーネント、例えば、1GHzのプロセッサなどは、最近では時代遅れと見られがちだが、十分活用できる。>
構成を最小限にし、誰も見向きもしなくなった部品までを活用する。恐らく、誰もが満足するスペックではないだろう。しかし、それでも中核となる価値だけは外さない仕上がりを目指すことは間違いない。
ライフサイクルが成熟期から衰退期を迎えると、製品は「合理化」に向かう。まさに「引き算」を徹底して無駄を省くのだ。例えば大昔に大枚をはたいて購入していた電卓(電子卓上型計算機)はもはや文具店や量販店の店頭でワゴンに入れられたり、ビニール詰めで壁からぶら下げられ、極めて低価格で売られている。パソコンがそうなる日も遠くないのかもしれない。
大事なことは、顧客のニーズがどこにあり、それにマッチした価値提供ができるか否かである。そして「足し算」ばかりではなく、時には「引き算」もきちんと考慮すべきであることだ。それはノートパソコン市場だけのことでないのは明らかである。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。