今さらだけどペイパーポストに関して意見を整理してみた

2008.08.04

営業・マーケティング

今さらだけどペイパーポストに関して意見を整理してみた

安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長

「ペイパーポスト」とは、広告主がクチコミを広げたいネタを指定し、その情報を自分のブログに記事として書いたブロガーに200円や500円といった報酬が支払われるシステムのことを指す。 このペイパーポストについて、今さらではあるが、ブランディングとマーケティングの側面から考えをまとめてみた。

(2) のクチコミ効果に関して最も問題なのは、ブロガーが報酬を得て記事を書いている以上、それはクチコミではなく、広告にすぎないということだ。

決してやってはいけないクチコミマーケの禁じ手」というWeb担の記事で米国のWOMMA(クチコミマーケティング協会)が定める倫理規定を紹介しているが、その第1項に、次のようにある。

==>以下引用==>
消費者に報酬を渡しながら、企業との関係を明らかにすることなく、商品推奨を依頼する行為をしない。
<==引用ここまで<==

つまり、ブログに記事を書くことで報酬を得ているのならば、ブロガーがその記事に「この記事はお金をもらって書いています」と添えるよう、広告主側が明示的に指示するべきだとしているのだ。そのルールをブロガーが必ず守るようにしなければ、結果として消費者(この場合はブログの読者)を欺くことになる。

広告収益で採算をとっていることが自明な既存の商業メディアと異なり、インターネット上のメディア、特に多くのブログは個人のメディアとして存在しており、明らかなバナーを除けば、そこに広告的な内容が入っていることは前提とはなっていない。だからこそ、グーグルはアドセンスの枠に「Ads by Google」と強制的に表示して、記事と広告を区別できるように明示しているのだ。同様に、ブロガーにお金を支払って記事を書いてもらうのならば、その事実を明示して、ブロガーが自主的に書いた記事と区別できるようにするべきだというのは当然だろう(この点に関して疑問があるようならば、そもそもネット広告に携わるべきではない)。

では、その流儀にしたがって「お金をもらって書いています」ということを明示したペイパーポスト記事がクチコミを呼ぶだろうか? ほとんどの場合は単なる広告なのだと受け取られることは容易に想像できるだろう。

ただし、例外もある。それは、ブロガーが試供品の提供を受けて実際に使ってみた結果を書くパターンだ。この場合、ブロガーが報酬を得て記事を書いていることを明らかにしていても、「実際に使ってみてこのように感じた」と実体験を元にした自分の言葉で記事を作れるので、クチコミたり得ると考えられる。

(3) のSEO効果は論外だ。永続的なリンクを1本あたり200円といった値段で得られるのは一見メリットがありそうだが、リンクを検索エンジンが評価するのは「このページが良いよ」と推薦する意図で張られた場合であり、報酬と引き替えに設置されるリンクは、検索エンジンにとって可能な限り排除したい「順位を操作するための有料リンク」にすぎない。実際にグーグルは実際に米国でペイパーポストのサービス(その名も「PayPerPost」)に参加しているブログの評価をゼロにした(つまりペイパーポストによるリンクのSEO効果がなくなった)し、そもそも有料リンクの取り締まりは厳しくなるいっぽうだ。

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