昨年(2007年)もまた、世界ITサービス市場のシェアNo.1は、 米国IBMだった。(ガートナー調べ) これで一体何度目の首位獲得になるのだろう。
商品価値の本質が「機能価値」ではなく「使用価値」であるならば、
営業活動で顧客にアピールされるべきものは、「使用価値」であるは
ずだ。
そして私の見るところ、IBMを始めとする米国勢には、「使用価値」
を前面に打ち出した、いわば「使用価値営業」を実践しているとこ
ろが多い。前述のシェアを企業の国籍別で見ても、米国が55.4%で
トップを占める。
物事の本質に寄り添ったビジネスを行なう者は、結局、強い。
では、日本勢ではどうか?
下図は、恥ずかしながら私が「伝説の講師」と呼ばれた某大手IT
企業での法人向け営業研修で、ウォークマンの話をした後に、
「機能価値」を「自社の技術力」
「使用価値」を「顧客の経営への貢献」
と、その企業の営業シーンに紐付けた上で、受講者自らが行なった
自己分析の結果である。
営業マンだけでなく営業に関わるエンジニアも含めて、モノ(ハー
ド、ソフト)とヒト(サービス)の3事業部門から参加した、新卒
2年目から本部長クラスにまたがる約1,000人にのぼる受講者のう
ち、ほぼ9割の人が、こう書いた。
(2004年~2008年実施)
「ハコ売り営業」じゃダメだ、目指すべきは「ソリューション営業
(Solution Sales)」だ、と言われて久しいけれども、「ハコ」、すな
わち「機能価値の器」として商品をアピールする日本勢の法人営業
の実態は、今もなお変わっていないと、私は踏んでいる。
いわゆる「ソリューションのハコ売り営業」という現実が、そこに
ある。
ちなみに、今や「当社の商品は」という代わりに「当社のソリュー
ションは」と言い、世界の多くの企業名に「ソリューション」が組
み込まれる時代ではあるが、この「ソリューション」という言葉、
本音では、あまりお薦めできない。
この言葉が示唆する、「商品とは、顧客の抱える課題解決のためのソ
リューション(解決手段)」なのだ、という考え方は確かに正しい。
正しいのだが、それを言ってみたとて、「ハサミとは、ものを切る道
具なのだ」と言っているに等しいから、強調され過ぎると、「だから
何?」と返したくなる。
また、「ソリューション」には「解決手段」以外に「解決」の語義も
あるものだから、これらの混同もしばしば見受けられる。それが、
とっても気持ち悪い。
言わずもがなではあるけれど、「解決手段」はあくまでも手段でしか
なく、それを巧く使って初めて「解決」が訪れる。ハサミは、「解決
手段」ではあっても「解決」ではありません。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
-
会員登録 (無料)
-
ログインはこちら
「機能価値」と「使用価値」
2008.07.18
2008.07.17