M&Aにおいて、「シナジー」という言葉は魔物です。 なぜ、多くの企業が、シナジーという幻想に取り付かれてしまうのでしょうか。
しかし、実際の経営者の認識はそうではありません。
M&Aを実施した117社の経営者に対し、
「買収は成功だったと思いますか?」
と質問した結果、実に82%の経営者が「イエス」と回答したのです。(日経BP「名経営者が、なぜ失敗するのか?」より)
サンプルこそ違え、これら二種類の調査結果の間に存在する大きな乖離は、経営者の正当な判断力の欠如を象徴するものかもしれません。
誤解のないように強調いたしますが、私は、決してM&Aがすべて失敗する、などと言いたいのではありません。
少なくないM&Aが、実際成功していますし、非常に大きなシナジー効果を上げているM&Aも存在します。
しかし、失敗しないために必要なことは、他者の失敗から学ぶことなのです。
・「自分たちだけは違う」とは思わないこと
・ビッグディールの興奮に流されて、問題点に目をつぶらないこと
・デューディリジェンスを完全に他人任せにしないこと
・泥臭い統合作業こそが正念場であると強く認識すること
M&Aに失敗しないためには、これらが必要になります。
それは、経営者の当然の責任でもあります。
規模の大小に関わらず、事業を売買するという経営者の意思決定には、従業員とその家族の生活すべてを大きく変える力があるのですから。
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