コンサルタントの使い方。具体的な指導はありがたいのか?

2008.06.28

仕事術

コンサルタントの使い方。具体的な指導はありがたいのか?

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

私自身、コンサルタントとして、経営者、リーダーの方々とお話ししていると、具体的なノウハウを伝えて欲しい、具体的にどうすればいいのか教えて欲しい、といった要望が大きいということを非常に強く感じます。つまり、直接的な答えを求めるということですね。

 セールスにおける聞く技術と、コーチングの傾聴は明らかに違います・・・。セールスは成約に導くために聞く、コーチは相手の成長のために聞く、明らかに目的が違いますからね・・・。

 コーチとは、1対1の関係の場合、クライアントである個人が目標を達成するサポートをする存在です。その際に、クライアントの話しを熱心に聞き、クライアントに適切な質問をすることで、クライアント自身に気づきをもたらすものです。そのために、傾聴、承認、質問という技術がコーチング独自の体系で整理されているものです。

 コーチはテニスで言うと「壁打ちの壁」のようなものです。プレイヤーが1人で壁うちをしながら、自分をチェックし、より技術を高めていく際の、壁がコーチなんですね。壁は主張はしませんが、プレイヤーの球を、プレイヤーが打ってきた角度に応じて打ち返していきます。コーチはクライアントの言葉を適切に受け取り、返していく存在ですね。

 ビジネスコーチングと言って、ビジネスの場面への適用が盛んですが、適用できる場面は非常に限られます。

 まず、適応できる課題は、重要度、緊急度でマトリックスを作って考えると、重要度が高く、緊急度の低い課題です。コーチングアプローチで解を出そうとすると、時間がかかるんですね。このことに対する理解が乏しい。また、コーチングを売りにする企業の側も、誠意を持ってこういうことを伝えずに、コーチングが万能かのように主張します。

 また、どんな人がコーチングの対象として適切なのか、といえば、スキル、ウィルのマトリクスで考えると、スキルが高く、ウィルも高い社員に適用可能です。これは当然ですよね?スキルも低く、ウィルも低い社員はやり方を指示してやらせるしかありません。引き出すよりも教えないとできないことが多いのです。

 当然、適切な課題、適切な対象者を前提とすればコーチングは威力を発揮します。ただ、その処方箋として適切な手引きを持っているコーチングをテコとしたコンサルティングを行う企業は、非常に少ないと言わざるを得ないですね。

 ただ、コンサルタントはあらゆる企業課題に対応しなくてはならないので、そんなことでは困りますね。

 

では、どんなコンサルタントがよいのでしょうか?

 私が理想とするのは、クライアントとの協業によって解を出していくコンサルタントです。そして、その協業のやり方にもポイントがあります。

 具体的な部分に関しては、クライアント企業のほうがよくわかっていることが多いです。日々、業務を遂行しているのですから、それは当たり前です。しかし、抽象的なお話しに関しては、クライアントは知らないし、苦手なことが多いでしょう。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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